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バイク王の執行役員が語る「好きを仕事にする」ために考えるべき事とは。

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バイク王の執行役員が語る「好きを仕事にする」ために考えるべき事とは。

関西大学4年生

濵田 将志

株式会社バイク王&カンパニー

澤 篤史

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。今回は、株式会社バイク王&カンパニーの取締役執行役員 澤篤史様に、お話を伺いました。

関西大学4年生
濵田 将志

関西大学経済学部。2022年4月より株式会社クイックで就業予定。就活では人材業界や不動産業界を中心に活動。大学ではNPO法人エンカレッジに所属しており、23卒の就活をサポート。趣味はカラオケとビリヤード。最近は一人ラーメンにはまっていて、深夜の豚骨ラーメンが旨い。

株式会社バイク王&カンパニー
澤 篤史

1998年に入社。営業部長、経営企画室長、経営管理室長、社長室長、企画部長、マーケティング戦略部門長を歴任し、経営及び営業戦略の立案、実行に従事。2017年、バイクライフプランニング事業部担当執行役員に就任し、バイク事業のオペレーション強化に努め現在に至る。

目次

好きを仕事にするのは、学生にとって憧れだけど…

濵田:
御社については普段からCMでも見ますし、個人的には、バイクが好きな人が働く会社という印象があります。実際、バイクが好きな人は多いのでしょうか。

澤:
バイクが好きな社員は多いかな。私もバイクは大好きですね。

濵田:
就活で言うと、好きを仕事にするのは理想ではありますが、仕事にするほど好きなことを見つけるのは、学生にとって難しかったりもします。周囲の目や親の期待もあって、自分の意思があまりなく、とりあえず公務員や大手企業を目指すような人はそれなりに多いです。


ただ好きなだけでは難しい。好きだからどうしたいかが大事。

濵田:
御社は、好きを仕事にできている人が多い会社だと思うので、好きなことを仕事にするためのヒントをお聞きできればと思います。

澤:
私は若い頃からずっとバイクが好きで、免許が取れる歳になったらすぐに免許を取って、家の近所のバイク屋さんに通っていました。ただ、バイク王に入社したのは、単にバイクが好きだからではないんですよ。

濵田:
好き以外に、何か理由があったんですか。

澤:
好きだから、バイクに関わる仕事がしたいというストレートな発想ではなくて、実は「好きだからこそ、もっとこうだったら良いのに…」というユーザーとしての不満があったんです。それを自分が変えたいという気持ちがありました。


もっとたくさんの人に、バイクの楽しさを伝えたい。

濵田:
変えたかったのは、どういった点ですか。

澤:
今はもう変わっていますが、昔はバイク業界って、職人的な世界だったんです。一見さんお断りみたいな、整備の職人さんが片手間で接客しているような店も多くて、免許取りたての若者がお店に行くのは、ちょっと怖いような感じでした。

私はもっとたくさんの人にバイクの楽しさを味わってもらいたかったけど、初心者の人にあまりフレンドリーな世界ではなくて…。私は、そういうバイク業界の閉鎖的な体制を変えたくて、バイク王に入社しました。バイク王は、バイクを広く流通させることを目指していた会社でしたから、自分の想いとも合致していました。

濵田:
単に好きだから入社するという考え方はそもそも違って、入社時点でビジョンがしっかりあったということですね。

澤:
そうですね。質問いただいた意図とは少しずれてしまうかもしれませんが、学生さんは好きを仕事にすると考えるより、自分が何をしたいのか、という理念を明確にされたほうが良いかもしれません。


志望動機が強い人は、壁にぶつかっても乗り越えられる。

澤:
人生のなかで働く期間は長いですから、せっかく働くなら何か成し遂げたいとか、自己実現の目標があると良いと思います。そのほうが、自分のなかで強い動機になるんじゃないでしょうか。

濵田:
入社後の早期離職なども、よく就活の問題として取り上げられますが、志望動機が弱いと壁にぶつかったときに乗り越えにくいのかもしれません。

澤:
若い方にとっては先の話だから、イメージし辛くて難しいとは思いますが、30年、35年後にどうなりたいのかをイメージしておくのが大事です。仮にそこまで至らなくとも、自分の志向や気持ちを棚卸しておいたほうが、良い就職活動ができるのではないかと感じます。

濵田:
好きなことを仕事にすると、それが嫌いになってしまう、といった話も一般論としてあります。でも、澤さんのお話を伺って、単に好きということではダメなのだと。好きなことだから、じゃあ自分はどうしていきたいのか、どう関わっていきたいのかという理念を持たないといけない。ただ、その覚悟が足りないと、結果的に好きだったものが嫌いになってしまうと。そんなふうに理解しました。

澤:
まさにそうですね! きれいにまとめていただいてありがとうございます(笑)

濵田:
いえ、こちらこそありがとうございます(笑) 就活中の学生には、すごく参考になる考え方だと思いました。


好きを仕事にした人の方が、やっぱり成長は早い??

濵田:
ちなみに、好きなことを仕事にしたほうが入社してからの成長も早いと思うのですが、やはりそうなのでしょうか。

澤:
多少はあると思います。私の場合はバイクの予備知識があったので、その点はアドバンテージだったと思います。ただ、入社時点でバイクに乗ったことがなくても、自分なりの働く動機がしっかりある方なら大丈夫ですよ。

濵田:
実際に活躍されている方の例を少し教えていただいても良いですか。

澤:
たとえば直近だと、入社時にはバイクにまったく乗ったことがなかった社員が、近々、エリアを統括するポジションに昇格する予定です。入社10年ほどなので早い方だと思います。あと、お客様と話すうちにバイクが好きになって、今はハーレーに乗っているという女性の社員もいますね。よく誤解されるのですが、当社はバイクが好きな人だけを採用しているわけではないんです。


バイクが好きであることより、社風や理念への共感が重要。

濵田:
いま挙げていただいたような方は、バイクが好き以外のどんな部分で、御社に入社を決められるのでしょうか。

澤:
社員の人柄や社風のような、カルチャー的な部分に惹かれて入社してくださる方が多いと思います。あとは経営理念への共感もあります。

まったくバイクの知識がない状態で入社したとしても、当社ではバイク王カレッジという、バイクのプロとしての知識を吸収できる研修も用意しています。私たちの考え方やビジネスを理解した上で頑張りたいという方であれば、入社時にバイクが好きかどうかの差はほとんどないと思います。


お客様ときちんと向き合うことが成長の近道。

濵田:
バイク王は、経営理念のなかでも成長という言葉が一番目にきています。


バイク王&カンパニーの経営理念

 濵田:
それだけ社員の成長を重要視されていると思いますが、御社の考える社員の成長とは、どんなことが成長だとお考えですか?

澤:
一番は人間的な成長ですね。バイクは趣味性の強いものですから、お客様の熱量が高いんです。バイクを売るときも、娘を嫁入りさせるくらいの覚悟で手放される方がいらっしゃいます。

そのくらい気持ちが入っていますから、店員とお客様の立場を超越した濃いコミュニケーションが求められることもあります。それを受け止められるかどうかです。しっかり受け止めると、精神面で成長できますし、人間力の面でも深みが出ます。

濵田:
お客様との濃い関係性というのは、具体的に言うとどんなことですか。

澤:
たとえば、私たちは接客の仕事ですからクレームをいただくこともあります。それ自体は良くないことですが、お客様から本音をいただけるのは本当にありがたいことです。知識が足りない。配慮が足りない。至らないところを自覚するきっかけになるのがお客様の声なんです。そこでお客様から逃げずに、自分の想いや考えをきちんとお伝えして、謝罪すべきところはしっかり頭を下げて、ご納得いただく。この経験が大事です。

濵田:
社員の方よりも、バイクに詳しい方がたくさんいらっしゃるでしょうから、生半可なことで通用しないと言いますか、なかなか他にはない独特の世界観ですね。

澤:
独特ですね。バイクが好きだからこそ、お客様にも中途半端な人には任せたくないという想いがあるし、逆にこの人になら任せられると信頼をいただくこともあります。


バイクを通すと、お客様とあっという間に仲良くなれる。

澤:
お客様との信頼関係で言うと、私も自分が店頭で接客していたときに、お客様のバイクを自分で買ったことがありますよ。

濵田:
えっ、どういうことですか。

澤:
接客でお話を伺ううちに、「じゃあ澤くんが引き取ってよ」という話になって。たまたまお客様のバイクが、自分でも欲しいバイクだったんですよ。それで澤くんが乗ってくれるなら安心だからということで。

濵田:
お店で買い取ったバイクを、澤さんが個人的に買って…。

澤:
そう。買いました。で、休みの日にそのバイクでお客様のところに遊びにいってね。バイクに乗らない方からすると驚かれるかもしれませんが、バイクを通すと、そのくらい一気に、お客様とも仲良くなれるんですね。


バイク王で働くすべての人に、成長の機会を提供したい。

澤:
世間一般で言えば、営業や販売の仕事は目標もあるから、苦手とする人も多いかもしれません。しかし、当社ではむしろ現場が大人気です。お客様の接客ができるポジションから離れたくないという人が非常に多いです。

濵田:
すごいですね。私の周りでも、文系だから選択肢が他になくて、仕方なく営業や販売職に就く、という人はけっこういるので…。

バイクが好きだと接客も楽しいので、その点はすごく良いなと思うのですが、そうなると会社として、社員のキャリアアップはどう管理されているのですか?

澤:
さきほどお伝えしたバイク王カレッジの他に、もう一つIK経営塾というのがあるんです。

IKというのは創業者の石川と加藤の頭文字からとったもので、経営に必要な知識、たとえばマーケティングや財務、交渉術などを体系的に学べるプログラムになっています。それと自己申告制のジョブローテーションを組み合わせて、管理部門の人員や次世代の経営人財を育てていく体制になっています。

濵田:
店舗で得られる経験以外のことも身につけられる仕組みが整っているんですね。最近は、転職を前提としたキャリアデザインを描く学生も多いですが、経営者のお立場から、その辺りはいかがですか?

澤:
もちろん、当社でずっと頑張ってもらえると有り難いです。でも、外に出てチャレンジしたい気持ちも理解できます。当社を卒業した方には、ぜひ社外でも成功して欲しいですね。社外で活躍するOB・OGの話を聞くと、バイク王での経験が社外でも通用したのだ、成長するための支援ができていたのだ、と感じられて勇気をもらえます。


売買だけでなく、バイクを通じて得られる体験も提供していく。

濵田:
いまどきの学生は安定志向が強くて、会社の将来性を気にする人が多いと感じています。いま、若者の車離れがあるように、バイク離れも同様にあるのではないかと思いますが、もし学生からそういう質問が出た場合、どんなふうに答えられますか。

澤:
その点については、もっともユーザーの多かった1980年代と比べると減少しているのは事実です。ただ、減少しているのは排気量の小さな原付一種で、原付二種以上は長期スパンで見ると、実は微増しているんです。

濵田:
移動手段としての意味合いが強い原付一種は減っているけれど、趣味的な需要もある排気量が大きいものについては、じわりと伸びてきていると。先ほどお話いただいたお客様の例のように、バイクを趣味として楽しむ人が増えれば、まだまだ需要は伸びていきそうですね。

澤:
まさにその通りで、バイクを通じた様々な体験も、付加価値としてお客様に提供していく流れが、今後はますます強まっていくはずです。もちろん、需要が旺盛な海外への展開も、テストマーケティングを実施するなど可能性を模索しているところです。国内にも海外にも、事業の伸びしろは、まだまだあると考えています。


好きを仕事にする不安やリスクをどう乗り越えるか。

濵田:
本日は、好きを仕事にするというところからお話を伺ってきました。しかし世の中には、好きにたどり着く以前に、周囲の目や親の期待などにとらわれて、一歩踏み出せない学生も多いのではないかと思っています。最後に、就活生に向けて何かアドバイスをいただけますか。

澤:
少し就活から離れて考えてみることも必要かもしれませんね。普段の生活のなかで、好きなことを全力で楽しめているか。そこから自分にとって大切なことは何かを考えていく――

濵田:
もし、それでチャレンジしたい方向が見つかったとしても、会社が潰れたらどうしようとか、失敗したらどうしようとかいう不安が勝ってしまう人もいると思いますが、その点はいかがですか。

澤:
そこは難しいのですが、私はリスクを恐れてチャレンジしなかったとしても、その先の未来で必ず後悔するときが来ると思っています。20歳を超えたら、もうすでに多くの方が人生の後悔って、一つくらいは経験しているんじゃないでしょうか。

濵田:
確かに、もっと勉強して良い大学に入っていれば就活が有利だったのに…、とかありますね。みんなあると思います。

澤:
仕事って、学生のみなさんが感じているより、ずっとやり直しはききます。私だって、就活のときは別の会社に入って、バイク王に転職したのは20代半ばのときです。

やりたいことがないのに無理にリスクを取る必要はありませんが、もしやりたいことがあるのであれば、ぜひ全力でご自身の「好き」に向き合ってみて欲しいですね。

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