キーワードで探す

  • 公開日:
  • 更新日:

働きがいも、休日も。ケーブルテレビが目指す、地域密着の事業運営。

  • ローカル企業
  • メディア
  • インフラ
働きがいも、休日も。ケーブルテレビが目指す、地域密着の事業運営。

大阪経済大学3年生

大原 健吾

ケーブルテレビ株式会社

髙田 光浩

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

今回は、ケーブルテレビ株式会社の代表取締役社長 髙田光浩様に、お話を伺いました。

大阪経済大学3年生
大原 健吾

大阪経済大学経営学部第1部ビジネス法学科。2023年卒業見込み。人材業界を中心に、楽しみながら就活中。大学ではソフトボール部で活動している。趣味は、映画や音楽鑑賞、筋トレ、けん玉、漫画、フィギュア集め、動物と遊ぶ等、多趣味。最近は趣味の映画鑑賞から、人に最高の1本をお届けする映画ソムリエを目指している。

ケーブルテレビ株式会社
髙田 光浩

小松フォークリフト株式会社を経て、1991年にケーブルテレビ株式会社(当時栃木ケーブルテレビ)に入社。その後、館林ケーブルテレビの開局に携わり、責任者として5年間勤務。2011年にケーブルテレビ株式会社 代表取締役社長に就任。2021年に前島密賞、ケーブルマン・オブ・ザ・イヤー2021を受賞。

目次

大原:
住んでいるエリアが違うので御社の契約ではないのですが、実家でケーブルテレビを利用しています。個人的に馴染みのあるサービスなので、お話伺えるのを楽しみにしておりました。本日はよろしくお願いします。

髙田:
ありがとうございます。よろしくお願いします。


入社して約20年。従業員から代表取締役へ。

大原:
髙田様は、もともとは製造業のシステムに関わるお仕事をされていたと伺いました。どういった経緯で、いまの会社に入社されたのでしょうか。

髙田:
大学では機械工学科で勉強していまして、新卒はコマツ系列の会社に入りました。本当は設計の仕事がしたかったのですが、情報管理の部署へ配属になり、生産ラインのプログラムを作っていました。ただ、ケーブルテレビに転職したのは偶然です。コマツの系列会社で海外転勤の話が出た時に、私がちょうど家族の事情で転勤が難しかったんです。それで地元で働ける会社を探していたときに出会ったのがケーブルテレビでした。

大原:
では、かなりお若いときに社員として入社されたんですね。

髙田:
31年前に入社しました。私が入社したころは栃木ケーブルテレビと言う社名でした。後に群馬県のほうにも進出することになって、栃木という地名が合わなくなるので、いまの社名に変更となりました。

大原:
社長になられたのはいつ頃ですか。

髙田:
10年半ほど前ですね。当時の社長が急逝して、それを引き継ぐ形で私が社長に就任しました。その時は社長以外の役員が皆さん社外取締役だったので、古参社員で会社の事情をよく知っている私に白羽の矢が立ちました。


お客様第一は、現場の社員を大切にすることでもある。

大原:
最初から社長を目指されていたわけではないんですね。経営のことも社長になってから勉強されたんですか。

髙田:
そうですね。会社の設立に関わっていただいた現在の会長から経営を教わることが出来ましたし、社外の経営者の集まる場に勉強にもいきました。おかげさまで、会社も大きく成長し、就任時に100名ほどだった組織が、いまは200名を超える規模に成長しました。

大原:
成長の要因として、一つ上げるとしたら何かありますか。

髙田:
社長になるまでに20年以上、社員として働いてきましたから、社員の立場や気持ちがよく分かるというのは、私の強みだったかもしれません。入社した頃は、社員が8名だけの組織で、営業も撮影も編集も経理も総務も何でもやりました。あらゆる部署の仕事をひと通り経験していたことが、経営者になったいま活きていると感じます。

大原:
髙田様になって変わったこと、というのはあるんですか。

髙田:
地域の方のお役に立てるようにという考えは変わりませんが、お客様第一の方針をさらに強めました。私たちの最大の強みである、地域密着をより高めていくためです。

大原:
具体的にはどういった取り組みをされましたか。

髙田:
お客様第一の実践をするのは社員ですから、まずその社員の満足度をあげることに取り組みました。会社が社員を大切にし、社員がお客様を大切にする循環が生まれれば、経営が良くなると考えました。


「好き」だけでは続かない。ワークライフバランスの重要性。

大原:
番組制作の仕事などは、個人的にハードな働き方をするイメージがあります。社員を大切にすることとサービスの質を両立させるのは難しそうですが、そんな中でも御社は健康経営を宣言されています。

髙田:
いまご質問いただいたように、番組作りのところは、残業が起きやすい職種です。速報性が求められるような番組もありますから。ただ、仕事で遅くなった日には、翌日に時差出勤をできるようにするなど、ワークライフバランスを実現しやすい体制を整えることで、働きやすさを担保しています。

大原:
ワークライフバランスが保てた方が、仕事の質もあがりますか。

髙田:
好きで始めた仕事でも、あまりに忙しすぎるとお客様のためという気持ちが薄れて、こなすだけになってしまいがちです。プライベートがしっかり確保されているから、目の前の仕事に120%の力を発揮できるのだと思います。実際、有給取得の奨励や産後の時短勤務をする方が増えるなど、会社全体の働く時間は少なくなっても、業績は伸びています。

大原:
私も就職活動していますが、休日休暇について、そこまで明確にお話いただける企業は珍しいので、素晴らしいなと感じます。

髙田:
私たちのサービスはインフラ的な側面があります。たとえ不具合が起こっていなくても、モニターしているデータ等にその予兆があれば、夜中であっても対応が必要になることがあります。手当の付与や代休をとれるようにするなど、配慮はもちろんしていますけれど、そういう時間にも、必要な時はしっかり対処してくれる社員には本当に感謝しています。そういう意味でも、スタッフの心と体の健康なくしては成り立たない事業だと思っています。


地域貢献を志望動機にする学生が、年々増えている。

大原:
さきほど会話のなかで「好きでやっている仕事」というお話がありました。やはりテレビ関連の仕事につきたいという志望動機の方が多いのでしょうか。

髙田:
たしかに毎年、非常にたくさんの方にエントリーはいただきます。ただ、いわゆるテレビ局とは違って、地域にまつわる様々な仕事をすることになりますので、ご入社される方の志望動機は様々です。

大原:
どんな志望動機なんですか。

髙田:
もちろん、番組のアナウンサーの仕事がしたいという方もいます。一方で、テレビ番組とは関係なく、地域貢献をしたいから入社する方もいます。最近は、地域貢献を志望動機にする方が増えてきている印象です。

大原:
番組制作以外にはどんな仕事があるんですか。

髙田:
たとえばコールセンターの仕事や通信・放送設備を保守管理するような仕事もあります。契約されているお客様のサポート業務もあります。営業職などもあります。様々ですね。

大原:
人気の企業故に、入社前と後とでギャップを感じてしまう人もいるかもしれないと思ったのですが、社員の方のモチベーションの変化についてはどうでしょうか。

髙田:
こういう仕事がしたいと、仕事内容重視で入社された方でも、働くうちに地域貢献に目覚める方は多いです。地域とのつながりが強い事業をしていますから、お客様からの感謝をいただく機会が非常に多いのも影響していると思います。会社には、お客様からのアンケートが1日に50通くらい届きます。ダイレクトなメッセージをいただけるのが、社員にとっては大きなモチベーションになっているようです。


ネットの動画サービスは競合ではない。

大原:
冒頭より、地域密着というお言葉が多く出ています。やはり御社のサービスは地域にかなり浸透しているのでしょうか。

髙田:
昔から営業をしているエリアでは、50%以上の世帯の方に加入いただいています。

大原:
近ごろは、若者のテレビ離れが進んで、YoutubeやNetflixのようなサービスを利用する人も増えてきています。競合が増えたことの影響はありますか。

髙田:
実はそういったサブスクリプションのサービスを私たちも提供しています。個別で契約いただくよりも、私たち事業者を経由したほうがお得に加入いただけたりするんですよ。競合と考えるよりは、共存するというのが私たちの考え方です。お客様の選択肢を増やすことが、結果的に顧客満足につながりますし、私たちの存在意義にもつながってくると思っています。


地域密着と専門コンテンツが強み。

大原:
色んなサービスを拡充していくと、ケーブルテレビならではの色が薄まってしまいそうにも思います。独自のコンテンツもやはり重要ですか。

髙田:
おっしゃる通りですね。私たちの強みは地域密着の番組提供ができる点にあると考えています。たとえば、コロナ禍で父兄が学校のイベントに参加できないというニュースをご覧になったことがあると思います。

大原:
はい。ニュースで見ました。

髙田:
私たちが地域の学校の運動会や卒業式などの行事を撮影して放送することで、実際に参加はできなくても、お子さんの姿をテレビを通じてお届けできるという、まさに地域密着の会社ならではの番組制作をやっていたりします。

大原:
たしかに、それは地域の会社でないと絶対にできないことですね。

髙田:
あとはマス向けのコンテンツではできないニッチな番組です。たとえば、ゴルフ中継でも、一般的なチャンネルだとメジャーな大会しか放送されません。ただ、私たちの提供するチャンネルであれば、プロになりたての若手だけが参加するようなマイナーな大会の放送もあります。個人の深い志向に応えるコンテンツ提供ができるのは、私たちの強みだと思います。


事業計画は冊子にして社員に開示。

大原:
ここまでお話いただいたような、地域のお役に立つという発想や視点を持つのは、最初からできることではなさそうだと感じました。ケーブルテレビに入社した後、どんな教育や経営を経て、その視点は養われていくのでしょうか。

髙田:
たとえば何かを勉強したいと思ったら、それに関わる本を買って読むのが普通ですよね。当社には、事業発展計画書という冊子が社員一人ひとりに配布されています。ここに私たちが大切にしていることが全部詰まっています。

大原:
なるほど。そういうものがあるんですね。

髙田:
朝礼で毎週読み合わせして、ミーティングの際などにも携帯して、何かあれば立ち返る場所として、活用してもらっています。

大原:
事業発展計画書はいつからお取り組みを始められたものですか。

髙田:
こちらは私が社長になってから始めたもので、もう10年になります。毎年、中身がアップデートされていっています。最初はいまの三分の一くらいの厚さでした。


あらゆるサービスが、地域貢献につながっている。

大原:
毎年、会社の行く末を考えながら計画書を作成されていると思います。髙田様の考える、地域貢献とはどういう状態を指すのか、それを体現されている方はどういった社員の方なのかお聞かせいただけますか。

髙田:
地域貢献とは、まさに地域の方に貢献するということですから、お客様のお困りごとに応えているコールセンターの方々、お客様に喜ばれる番組作りをしているスタッフ、お客様のインターネット環境を支えているスタッフ、みなさんが地域貢献できているスタッフだと言えます。また、スタッフ全体を支える管理部門の方々も、社員の支援を通じて地域に貢献していることになりますね。

大原:
象徴的な取り組み事例はありますか。

髙田:
たとえば、数年前から地元の企業を集めて就活フェスを実施しています。大手の就職サイトにはなかなか載せられないけれど、キラリと光る素晴らしい企業がたくさんありますので、そういった企業と栃木で働きたい学生さんのマッチングをお手伝いしています。これは社員から出たアイデアが形になった成功事例ですね。


地域をよく知る会社にしかできないDXもある。

大原:
ちなみに髙田様ご自身にとっての地域貢献とはどういったことになるでしょうか。

髙田:
これから会社をどうしていくかを考えることそのものが、まさに地域貢献になっていくと考えています。より快適に、より安全に暮らせる地域を作ること、若い方に地域の魅力を発信して人口減少を抑制すること。地域DX的なものを高めていくことも重要だと思います。

大原:
地域DXとはどういったことですか。

髙田:
行政が取り組んでいるスマートシティなどがそうです。大手企業が中心になってプロジェクトは動きますが、その中で、地域を良く知る私たちのような存在がお手伝いできることも多いと思っています。

大原:
具体的に言うとどんなことになりますか。

髙田:
国の行うDXは全国的に使えるプログラミングを提供することになりますが、地方にとっては、機能や性能が過多になる可能性もあると思っています。私たちは、地域にあったコストと性能のサービスを提供していきたいと考えています。IT戦略室という部署を立ち上げて、全国のケーブルテレビ事業者と連携しながら、未来に向けた準備を進めています。

大原:
地域貢献という切り口でお伺いしていたのですが、最終的には社会全体への貢献にもつながってくるようなお話で、地元で働きたいと考える学生にとっても勇気のもらえる内容だと感じました。

髙田:
スケールの大きな話ですから、私一人が矢印を示してもなかなかことが進みませんので、何度も何度もお伝えしながら、日々の業務を通じて体感もしていただいています。一生懸命、目の前の仕事に取り組むなかで、「社長が計画書に書いていることは、まさしくこういうことなんだな」と社員自ら考えて行動できる組織になっていけると、目標の実現に近づいていけるのではないかと思っています。


今やりたい仕事は、70歳までやりたい仕事なのかを考える。

大原:
最後に就活している学生向けにメッセージやアドバイスなどいただけますか。

髙田:
自分の最終目標は何かをよく考えてもらいたいです。その会社に入って何ができるんだろうかと。それは、入社直後だけでなく、もう少し先まで考えてみてください。営業でも番組制作でも、その仕事を23歳から60歳、70歳までやるのか、できるのかということです。目の前のことを頑張った先にどんな道が拓けてきそうなのかも考えた上で、ご自身の進路を決めていただけたら、納得のいく就活になるのではないかと思います。

大原:
髙田様も、設計がしたかったのに、情報管理の仕事に配属になって――

髙田:
そうですね。本当に自分がやりたい仕事とは何なのかを見つめ直すきっかけになった経験です。私はケーブルテレビに入社したときは従業員が8名でした。小さい会社でも良い会社はたくさんあります。むしろ、自分がその会社を大きくするんだくらいの気持ちでチャレンジされたほうが、いい結果につながるかもしれません。大原さんも、これから日本に貢献できる素敵な仕事ができるように、ぜひ頑張ってください。

大原:
頑張ります! 本日は学びになるお話をいただきありがとうございました。

SHARE

おすすめ記事

pickup
  • 働きがいも、休日も。ケーブルテレビが目指す、地域密着の事業運営。