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社長が考える社会貢献とは。

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社長が考える社会貢献とは。

同志社大学4年生

山下 実桜/取材・執筆

株式会社globeコーポレーション

荒川 智

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

今回は、株式会社globeコーポレーションの代表取締役社長 荒川智様に、お話を伺いました。

同志社大学4年生
山下 実桜/取材・執筆

同志社大学商学部。2022年4月より株式会社クイックで就業予定。就活ではコンサルティング業界、人材業界を中心に活動。大学では、IT系ベンチャー企業でのインターンシップに参加経験あり。趣味はゴルフ。休日は早起きし散歩をして過ごすのがルーティーン。

株式会社globeコーポレーション
荒川 智

1976年生まれ。茨城県日立市出身。2010年globeコーポレーション代表取締役社長に就任。人と地域にフォーカスした社会問題解決をビジョンに掲げ、子どもの教育環境改善〜女性リーダーの育成〜孤独死の回避〜育児ストレスの軽減〜障がい者の自立支援と、より善い社会の実現に向けて邁進中。「未来を創れるのは今を生きる大人だけ、為せば成る!」を口癖に、目的を共有した仲間たちと今も走り続けている。

目次

山下:
本日はお時間いただきありがとうございます。同志社大学商学部4年の山下と申します。

荒川:
よろしくお願いします。

山下:
御社を立ち上げた背景をお話いただけますか。

荒川:
globeコーポレーションは、サッカー教室や健康教室、母親のためのレストラン経営といった地域の社会問題に向き合う事業をしている会社です。実は私が立ち上げた会社ではなく、弊社の現専務が立ち上げた会社なんですよ。

山下:
そうだったんですね。荒川社長と専務はどういった関係なのですか。

荒川:
前職の営業会社にて、私が上司、彼が部下という関係でした。もともとは断っていたのですが、私が前職を退職する時にも声をかけてくれて。代表として2010年の6月に入社したわけです。


今の営業職の在り方。

山下:
前職で営業をされていた荒川様から見て、今の営業職の在り方はどう感じますか。

荒川:
寝る間も惜しんで働きたい人にとっては、やりにくい社会ではありますね。

山下:
仕事に対して意欲的な人にとっては働きにくい世の中かもしれませんね。世の中がそれを良しとしてくれないというか。

荒川:
そうですね。弊社ではそんな社員に対して、「やりたかったら、とことんやればいい」というスタンスです。


自ら選ぶ研修制度。

山下:
御社では、時間を惜しまず働く方はたくさんいらっしゃるのですか。

荒川:
もちろんいます。しかし、年々少なくなっていると感じますね。結局は、その人の人生なので、その人が決めればいいと思います。強制的に仕事をさせようとは思いませんし、私たちが行っている社内研修は10数項目ありますが、必須で受講いただくのはそのうち1つだけです。

山下:
入社してから自分で選んで研修を受けるといったスタイルなのですね。

荒川:
もちろん、一人前になるまでの研修はしっかりしてもらいます。そのあとは、個人の成長度合いによって、やった方がいい研修もありますし、やらなくていい研修もありますので、自分で選択してやってくださいという形になってますね。


具現化することが、ビジネス力。

山下:
今後、荒川様が考える社会貢献とは何でしょうか。

荒川:
社会貢献とは仕事そのものです。仕事をしていたら、自然とそれが社会貢献になってしまうものです。我々は地域の社会問題にフォーカスしてきたので、今後は国単位の社会問題にチャレンジしたいと思っています。

山下:
具体的にどのようなことにチャレンジされるのですか。

荒川:
ひとつは、災害支援に関する事業ですね。

山下:
価値がある事業だと思いますが、商売としてはどうなのでしょうか。儲からないと思ってしまいます。

荒川:
その通りですね。簡単には儲からないですよ。だから普通やらないのです。誰もやらないからこそ、問題が続いているわけです。社会問題は、一人で解決できないですよね。一人で解決できないことを組織で解決するために会社がある。これがglobeコーポレーションの考え方です。

山下:
そうなんですね。

荒川:
収益を上げることが困難だからこそ、ビジネス力が必要になるんですよ。ビジネス力とは、具現化する能力だと社員には言っています。簡単ではないからこそ、そこにはたくさんの工夫と努力がありますね。


大企業のロールモデルになる。時代を作るのは民間企業。

荒川:
弊社のmamama cafeという事業は、何度も何度も事業計画の中で収支計算しましたけど、どうあがいても黒字にならないんですよ。私もすごく悩みました。

山下:
なぜ始められたのですか。

荒川:
一人でも多くの親御さんたちの手助けをしたいという想いだけでスタートしました。オープンして4年が経とうとしていますが、一度も黒字化したことはないです。

山下:
それは驚きです。

荒川:
ご利用者の方々から、たくさんの感謝の声をいただいています。また、mamama cafeをいいと思い、参考にしたり、真似してくださったりしている団体があります。こうして弊社のサービスが広まり、一人でも多くの親御さんを救っています。

山下:
御社がロールモデルになっているんですね。

荒川:
そうですね。やってよかったなと思います。

山下:
この事業を全国展開されるのでしょうか。

荒川:
我々の力だけで、全国展開をしようとは考えていません。

山下:
それは、どういうことですか。

荒川:
mamama cafeで儲かるモデルを作り、大手企業に真似されて、この形態が全国に広がることが目標です。小さい子どもがいる親御さんたちに時間と空間と仲間を提供する場所が全国に広まれば、すごく子育てにやさしい国になっていくと思っています。

山下:
なるほど。まさに国単位の社会問題に取り組まれているということなんですね。

荒川:
そういった力を民間企業だからこそ持っていると私は考えています。時代をつくるのは民間企業だからこそ、真似されるようなお店にしていくことは絶対にするべきことだと思っています。


熱い想いが採用基準。スキルも分解して考える。

山下:
御社では、採用基準となる、持っておかないといけないスキルはありますか。

荒川:
スキルといっても、テクニカルスキルとポータブルスキルに分かれます。テクニカルスキルは気にしません。ポータブルスキルを重視しています。自分自身の考え方を深堀したときに、弊社の理念に共感できるかどうか。これが最も重要なポイントということですね。

山下:
御社の面接では、いかに自己分析ができているかがポイントになってきそうですね。他に採用するときの判断材料はありますか。

荒川:
我々は人と接する仕事なので、お客さんとコミュニケーションが取れるかどうかですかね。これは面接において、身だしなみ、話し方、言葉遣い、履歴書の書き方などで判断します。仕事では常に相手がいるので、この人と話していて気持ちがいいなと感じる人でないと採用しないですね。


社長が考える就活の軸とは。

山下:
荒川様が学生に戻ったらどんな軸で就職活動をしますか。

荒川:
私は企業の理念に共感できるかどうかが重要だと思いますね。業績とかは関係ないかなと思いますし、会社の規模とかもあんまり気にしなくていいと思います。

山下:
私だったら、たとえばスタートアップのベンチャーで、熱い想いや理念に共感できたとしても、業績が上がっていない企業であれば、選ばない方がいいと言ってしまうかもしれません。

荒川:
外的要因と内的要因の両面から自己分析していけば、何にやりがいを感じるのか、どういった働き方が好きなのかが分かります。仕事内容や働き方に納得できて、理念にも共感できる会社を、私だったら選ぶと思います。


働くとは生産するということ。

荒川:
ちなみに、山下さんは働くとは何だと考えていますか。

山下:
……難しいですね。

荒川:
働くとは生産することなんです。就職活動をするときに最初に考えるのは、ひとりで生産するのか、みんなで生産するのかのどちらかなんです。つまり起業などをして一人で働くのか、会社に属して働くのか選ばなければならないですね。

山下:
後者を選ぶ学生が多いですね。

荒川:
そうですね。私たちは社会問題を解決するためにインパクトを大きくすることが重要だから会社としてやっています。なぜ会社に属するのかも考えるべきだと思いますね。


心が成長できる環境づくりを。

山下:
御社では理念が浸透していると思います。具体的な制度はありますか。

荒川:
全体朝礼では、私がフィロソフィーの共有をしていますね。

山下:
社長から理念の共有があるのはいいですね。ちなみにそれはオンラインですか。

荒川:
はい、オンラインです。実は、子どもたちの授業でコロナ禍でグラウンドが使えない時にオンラインでも行いましたが、やはり対面(オフライン)での授業のニーズの根強さを感じますね。

山下:
オンライン・オフラインどちらが良いのでしょうか。

荒川:
オフライン・オンライン関わらず、心が成長できる環境を作ってあげることが大事になります。これは採用においても同じで、自ら成長できる環境をいかに作れるか、仕事でいうと、自走できる環境をいかに作れるか。あとは、成長のきっかけをいかにピンポイントで与えられるのかが重要ですね。


恩師との出会い。数字を追う日々に部下の幸せはあるのか。

山下:
恩師の方からは、どういった影響を受けられたのでしょうか。

荒川:
恩師は2人います。一番大きな影響を受けたのは前職の上司ですね。

山下:
どんなことがあったのですか。

荒川:
前職の会社は、数字を上げることだけが評価される会社でした。そんな会社で、上司に「お前は何ができるんだ」と言われたんです。未熟だった私は「数字だったらどれだけでもあげられますけど、どれだけあげてほしいですか」と答えました。

山下:
すごいですね。

荒川:
上司に「数字をあげることはすごいのか。部下は幸せなのか。」と言われたんです。そのときは数字を上げることが全てだったので、部下の幸せなんて考えてもいなかったですよ。

山下:
今の荒川様からは想像できません。

荒川:
当時の私は数字に走っていましたけど、上司の話を受けて考えが変わりました。自分の部下が数字だけでなく幸せも手にしてくれたほうが嬉しいとは、もちろん思うじゃないですか。そこに挑戦してみたいなと思ったんですよね。

山下:
荒川様が今の考えになったルーツを知れた気がします。

荒川:
変わったのはそこからですかね。歴史を勉強していて、未来のために生きていた人たちを知って、俺もそうなりたい!と思ったんですよ。売り上げとか利益とかそういったものしか考えていなかった自分自身がダサいと思いましたね。

山下:
なるほど、そういった経験が今のglobeコーポレーションのベースになっているわけですね。

荒川:
そうですね。これがあって、今の考え方や会社があるというわけですね。


学生って、社会に対する希望はあるの?

荒川:
山下さんは、将来について考えたとき、社会に対してどんなことに希望を持っていますか。

山下:
社会に対しての希望はないですね。正直、社会に対しては不安しかないです。私が自分の意志で入社を決めたクイックという会社には希望があります。

荒川:
希望がないというのは衝撃的な答えでした。会社に希望があるのはいいことですね。

山下:
考えれば考えるほど不安になってきました。

荒川:
人は変化が起こるときは必ず不安になるんですよ。でも、よく考えると今も一秒単位で年を取っていて変化していないことなんて一秒もないんです。変化に対応するスピードが上がってきたら、ぜひ自ら変化を起こしてください。そうすれば、不安がなくなると思います。

山下:
早くそこのフェーズになって、安定したいです。

荒川:
安定という心の状態を保つためには、ざっくりいうと実力をつけるしかないので、実力つけたら安定ですよ。会社がつぶれても自身のビジネス力でどうにかなることが安定といえますね。

山下:
そうなんですね。頑張ります。

荒川:
御社は失敗を還元できる会社だと思いますので、たくさん失敗すればいいと思いますよ。

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