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エクセレントカンパニーになるために
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駒澤大学4年生
清水 彩香
伊藤製油株式会社
片山 拓也
学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。
今回は、伊藤製油株式会社の代表取締役社長 片山 拓也様に、お話を伺いました。
駒澤大学文学部英米文学科。2023年4月より株式会社クイックで就業予定。就活では人材業界を中心に活動。趣味は映画・ドラマ鑑賞とドライブ。夢は自分で稼いだお金でマイカーを買うこと。
1968年6月生まれ 54歳 大学卒業後キヤノン㈱に入社。2016年伊藤製油㈱に入社し経営企画室長を歴任後、2020年51歳で代表取締役社長に就任し、現在に至る。海外市場の開拓に邁進するとともに、社員が自律し成長するための人材育成基本方針の策定など人材開発にも尽力している。
目次
清水
本日はよろしくお願いいたします。まずはじめに、ご経歴を教えていただきたいです。
片山
大学を卒業してキヤノン株式会社に入社し、経理や事業企画部門で従事しました。その後2016年に伊藤製油へ入社し、取締役を務め、2018年に専務になり2020年から社長に就いているところです。伊藤製油は、私の祖父が設立した企業で、その縁で入社しました。
清水
そうなんですね。社長になってから感じるやりがいや大変なことなど、社長だからこそ感じることがあれば教えていただきたいです。
片山
様々な事を決断するという意味では、責任が重いかなと感じています。社長というのは、社員が働きやすい環境や自分のスキルを十分発揮できる環境を整えていくのが、一つの大きな仕事だと思っています。環境の変化に対応して、いかにその仕事がやりやすい環境を整えていくかというのが、今自分に課されている重要な責務の一つと感じています。
清水
ありがとうございます。どういったときに成長していると感じられるのでしょうか。
片山
そうですね。例えば生産現場での改善とか、全社的な取り組みで皆が協力をして進んでいく姿が見え、企業の生産力が上がった。といった状況が見えたときに成長を感じますね。
清水
なるほどありがとうございます。先ほど社長として働きやすい環境作りが大事とおっしゃっていたと思うんですが、具体的に取り組まれていることはございますか。
片山
例えば、時間有給休暇制度を取り入れたり、介護休暇、看護休暇の改善、育児の時短勤務も法律で求められている以上の小学校6年まで延長可能にしたりとか、時差出勤制度の導入など。社員が仕事と生活を両立できるような取り組みを進めましたね。あとは、教育という意味ではEラーニングで学ぶ機会の提供をするようにしました。
清水
社員の方を考えた具体的な取り組みが素晴らしいなと思いました。
ひまし油だけをひとすじに
清水
ひまし油製品をメインに事業展開を始めたきっかけを伺えますか
片山
弊社がひまし油に関わったのは1917年です。原料を中国に調達に行ったときに、当時の日本では見たことの無いひまの種に出会い、「これは面白い」とひまの種を日本に輸入して搾油したというのが、日本におけるひまし産業の始まりです。つまり、弊社は国内の中で、ひまし油のパイオニアだったと自負しています。ひましの専業に舵を切った理由は、色んな植物の中でもひましはユニークな物で、今後様々な産業に使用できる意味のあるものだということで特化するようになったという理由です。
清水
なるほど。私もひまし油について調べてみたのですが、ひまし油はすごいなと思いました。
片山
すごいですよね。あまり知られていないですが、ひまの種から絞った油がひまし油で、昔は下剤とか戦時中の戦闘機の潤滑油に使われたりしていて、どうしてそういうものが出来たのだろうと思うくらいユニークなものですね。
清水
はい、そうですね。多くの方々にひまし油のすごさや、こんなものがあるということをぜひ伝えたいと思います。
困難を乗り越えて掴みっとった成長
清水
創業からひまし油と向き合い続けてきた中で、印象的なエピソードであったり、特に思い出に残っていることというのは何かございますでしょうか。
片山
企業自体の転換期という意味では、1980年頃からどの国もひまし油を作れなくなりつつありました。ひまの種子の国際貿易が縮小するような状況が続き、油を売ることに力を入れようということで、80年代に化成品に舵を切って力を入れたというのが転換点のひとつですかね。
清水
なるほど。化成品ですか…。
片山
はい。1991年頃にひまの種が輸入できなくなりました。ひまし油の搾油を主力事業にしていた弊社としては、たとえひまの種を仕入れることができなくてもお客様の信頼に背くことはできないという考えから油を輸入して高品質な油に精製し、安定してお客様へ供給させるということと、化成品事業を広げていくと決断したことが結構大きな転換点ですね。
清水
ひまし油を使った化成品をお客様に提供していく中で、どんな課題がありましたか。
片山
ひまし油を安定供給することですね。ひましの供給量を安定させるために海外へ赴き、ひまの栽培を指導していました。品質に関しては、ひまし油の品質を保つために規格を作りインドの各メーカーとともに搾油技術の向上に取り組みました。またインドで一番大きなひまし油の搾油メーカーに対して出資することで、供給を安定させることができました。
清水
なるほど。ここ数年の現状はどうですか。
片山
最近の話では、コロナ禍の時は大変だったんです。インドが全面的にロックダウンして2か月くらい輸入が止まってしまいました。そこで今は、安定供給のためにも毎年インドで開催されているひましの国際会議や
ICOA(International Castor Oil Association)にも参加し、今まで以上に業界に携わる方々とのネットワークを強化していきます。
清水
そうなんですね。インドがロックダウンした時は、どうされてたんですか。
片山
在庫を販売しながら、様々な供給元に打診しました。毎日のように(笑)。なんとか2か月ほどで輸入が再開できる目途が立ち、ぎりぎり間に合ったのですが、あの時はほんとに寝れないような状況でした。
清水
そうだったんですね。世界各国にひまし油のネットワークがひろがってるっていうのを知ることができて良かったです。ありがとうございます。
愛される企業を目指して
清水
HPを拝見しました。ひまし油製品の可能性を追求し地球環境に貢献する具体的な取り組みを伺えますでしょうか。
片山
そうですね。脱炭素社会への実現に向けて、石油由来原料をカーボンニュートラル素材に置き換えていくことが求められていますが、植物原料であるひまし油が果たせる役割は、まだまだ大きいと考えています。私達は100年以上ひまし油に携わってきましたが、技術力と提案力の更なる向上に注力し、ひまし油の利用を普及させることで地球環境に貢献していくというのが使命だと考えています。
清水
そのようにするにあたって大事になるポイントはありますか。
片山
そのためには原料となるひましの生産が持続的に発展することが重要になると考えています。栽培地における農家の生産性向上や環境保護、人権尊重・安全な労働環境確保のために活動しているSustainable Castor Associationという国際団体のサポートプログラムに賛同し民間会社としていち早く参加して、インドの農民を支援しています。
清水
様々な取り組みをされているんですね。このような取り組みをしていく中で今後注力していきたいことはありますか。
片山
弊社が取り組むべき課題の一つは人材育成、二つ目は海外に対しても弊社の製品や技術力をアピールしていく必要があると思っています。ただ、決して簡単なものではなくて世の中の流れの波に乗れるような動きをしていく、変化に対して柔軟に対応していくような体制を作るのがカギになるかなと思います。
清水
ありがとうございます。今後の目標、夢や課題は人材育成という所と時代の流れに合わせて行くという認識であってますかね。
片山
そうですね。売上や事業規模を目標にあげる企業様も多いと思いますが、私自身そのこだわりはなくて、やはり従業員にとっても社会にとっても意味のある良い企業にしたいとは思っています。人の成長があって事業の目的、意義というものがあって、そのうえで企業がより成長していくというような循環ができるのを目指していきたいなと思っています。
清水
なるほど、ありがとうございます。売上というよりは人の成長や事業の成長を通してのいい企業というものを目指すということですね。
片山
いろんな意味でのエクセレントカンパニーがあるように、あの企業いいよねと皆さんや、お客様、地域社会、従業員に思っていただける企業にしたいなと思っています。
失敗を恐れず主体的にチャレンジしていこう
清水
最後に御社の選考を受け、入社してくる学生に求めるものというのはございますか。
片山
そうですね、今の世の中答えがない世界ですよね。より事業を広げていくには我々の技術力を磨いていく必要があると思っているので、若い方には主体性を持ち、様々なことに興味をもって自分の知識の幅を広げてもらいたいと思っています。
清水
主体性をもって取り組むことなんですね。
片山
コロナ禍ではできることに限りはありましたが、例えば本を読んで多様な知識を学んだり、自主的な経験というのは積めるので自分の世界を広げて、尚且つ主体的に、色々な事を進めていくような人になってもらいたいと思っています。
清水
そうですね、若いうちだからできることであったり、いろんなことに興味をもって私もこれから動いていきたいと思います。入社前に企業の社長様と話をさせていただける機会というのはとても貴重だなと思っていて、改めて貴重なお話をさせていただいてとても楽しかったです。本日はありがとうございました。
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