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ひとりの仲間として持つ、社長の想い

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ひとりの仲間として持つ、社長の想い

立命館大学3年生

安田 莉子

株式会社コスメック

木村 公治

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

株式会社コスメック 代表取締役社長 木村 公治様に、お話を伺いました。

立命館大学3年生
安田 莉子

立命館大学文学部。社会人の方とコミュニケーションがとれることに魅力を感じ、インターンシップに参加。大学のゼミでは19世紀のイギリス文学を学んでいる。趣味は散歩とイギリス文学を読むこと。

株式会社コスメック
木村 公治

1970年10月生まれ。54歳。大学卒業後、株式会社コスメックに入社し営業として従事。 2011年取締役営業部長、2018年常務取締役製造部長を経て2021年に代表取締役社長に就任し、現在に至る。

目次






安田
本日はよろしくお願いいたします。初めに木村様の経歴についてお伺いしてもよろしいでしょうか。


木村
私は1994年の入社となります。その当時は創業まだ8年の若い会社でしたが、非常にこれから伸びていくと感じました。バブル経済が少し残ってたような時代でいろいろ他の企業もあったのですが、将来性に惹かれて入社したのがスタートです。


安田
仕事では何を担当されていたのですか。


木村
長年やってきたのは営業です。関西地区でスタートし、その後中部エリアで自動車関連の企業を多く担当しました。その後本社に戻り、営業部の責任者、製造の責任者をして、2021年に社長に就任しました。


社長という記号は後についてくる

安田
御社は創業の精神をすごく大切にされていると拝見しました。その創業の精神が木村様の価値観とどのように結びついているのかお伺いしたいです。


木村
創業の精神はこの会社が生まれた時からのDNAです。これは社長が変わろうが誰が社長をしようが変えてはならない、変わらないものです。その中で大事にしているのはみんな仲間ということです。社長が偉い、部長が偉いとかみんなに決めてほしくありません。


安田
仰る通りです。


木村
記号なんです。社長であり、部長であり、課長でありという、仕事上の役割はあります。だがその前に仲間であると。そこをみなさんには知っていただきたいですね。


安田
そこが木村様が一番伝えたい価値観だと感じました。


木村
そうですね。例えば、みなさん友人関係をお持ちで入社されます。その中で自分があまり好きでない人とはそこまで深く付き合わなくていいですよね。


安田
そうですね、自分で選択できます。


木村
友人関係と仲間の違いはなにかというと、”苦楽を共にする仲間”と”仲間の前に苦楽を共に”という言葉があります。楽・楽しいこと、これはどんな人とでも非常に共有しやすい出来事ですね。ですが苦しいことの共有は、中々難しいですよね。


安田
難しいですね、相手のことも、自分のことも考えると。


木村
苦しいときもみんなで助け合う、これがまず仲間という前提になります。


安田
木村様の創業の精神に対する想いの深さや、仲間という言葉に対しての想いや考えがすごく伝わりました。そんな木村様が社員の方とのコミュニケーションの中で意識していらっしゃることは何かありますでしょうか。


木村
朝工場を歩くんですよ。そして我々は製造業ということもあり、事故防止の観点で朝みんなと顔を合わせ、体操して朝礼をするんですよ。


安田
そうなんですか!みなさんご一緒にですか?


木村
大きな単位ではなく、班とか、大体5人とか10人ぐらいの単位で朝礼をします。出張がない時は、今日はどこ行こうかなって適当にふらっと行きます。そこで一緒に体操し、朝礼を聞いて、色んな人と話をしたり、工場を歩き回りながらちょっと声かけたりとかをよくしてます.


安田
思っていたより木村様との距離が近いというか、話せる環境があるんですね。


木村
さっきも言ったように、社長って記号なんですよ。社長は偉いわけではなく普通の人ですから。社長という仕事をしないといけないだけなんです。すぐそこにいますし。


安田
社員の方はそうした木村様の価値観や人柄を知っておられそうだと感じました。


お客様へ満足を超えて感動を

安田
日々の業務の中でどういう心がけをされているのでしょうか?


木村
お客様に買っていただくことがまず我々営業の仕事になります。ですが世の中の景気って一定ではありません。リーマンショックが発生した時や直近ではコロナの間ですね。中々出社ができず、工場も動かないので、販売量が急激に減ったこともありました。


安田
やはり世の中の動きが大きく関わってくるんですね。


木村
どうしても外部要因で販売量は変わってしまいます。その中でお客様にニーズをお聞きしたり探したりすることが営業の仕事です。それを実現していく中で、非常にたくさんのやり取りがお客様と発生します。


安田
お客様の要望に沿う形で仕事をすることを大切にしているんですね。


木村
もちろんお客様にもご協力していただかないと前に進めません。お客様に満足をしていただくために、私はよく満足を超えて感動と言います。


安田
詳しくお伺いしたいです。


木村
お客様が想定している範囲内の答えであれば満足になりますが、「お客様の想定を少しでも超えてみよう」と。少しでも超えたら感動になるから、ちょっとでも驚きを与えたいです。そのため社内のみなさんにその分+αで頑張ってもらおうとしています。


安田
なるほど!その意識はすごく素敵ですね!


木村
会社がピンチのとき技術本部は技術本部で、何とかお客様の要望に対し何ができるかと色々考えたりしています。少し空いた時間で新しいことに取り組んでみたり、改善してみたり、そういうことをみんなで取り組んでいます。


安田
社員の方も一丸となって意欲を持って行動されているんですね。


木村
そういうようなタイミングで、世の中ピンチのときに仲間として非常にしんどい局面を越えていこうと。苦しい時こそコミュニケーションも大事になるし、協力してもらうことで少しでも現状を脱却していく。こういうことがお互いにあればいいなと思ってます。


安田
外部的要因で打撃を受け販売量が減ってしまった際に、その現状を打開するために仲間として、みなさんが当事者意識をもって業務にあたるんですね。


木村
そうですね、ピンチを乗り越え、その先に何があるかを楽しみに、みんなで仕事してるみたいな感じですね。


安田
ありがとうございます。


モチベーションのカギはお客様

安田
社員の方のモチベーションを保つために、木村様が意識していらっしゃることはありますか。


木村
モチベーションの話はたまにするんですが、会社には色んな人材がいます。そこでスキルとモチベーションの掛け算がその人材を決めるという話を研修でたまにします。


安田
詳しくお伺いしたいです。


木村
モチベーションを高く保ってた方が人材としての価値が高まるよって話なんですが、モチベーションって何かという話もよくします。人から与えられるモノだと思っている人が意外と多いんですが、モチベーションってそうじゃないんですよ。


安田
と仰いますと?


木村
自分が成長しているとか、苦しいことをした後の爽快感のためにする、そういったことがモチベーションですね。人からやれって言われてやるわけじゃないですよね。


安田
おっしゃる通りだと思います。


木村
モチベーションというのは非常に大事ですが、会社としての目標達成が一つのモチベーションになってほしいという想いはあります。一人一人の推進力をみんな同じにしようとは思ってませんが、方向がバラバラだとせっかく進もうとしてる力が一方向に向きませんので、進むスピードが出ませんよね。そこに関して同じ向きを向いてもらうことをまず意識をしてます。


安田
なるほど、進む方向はみんな同じにされたいのですね。


木村
そのうえでその目標を達成する、ってことに対して一人一人が取り組んでもらう。これがモチベーションとして一番大事なとこかなと思ってます。あと、厳しいだけでは頑張れないですよね。その後で何かいいことがあるから続けようという気持ちになりますよね。


安田
間違いないです。苦しいことだけだと色々嫌になっていきます。


木村
我々の会社で言うと3月の成果配分の賞与とか楽しみにしてますね。そういうことがモチベーションを維持・向上させていく一つになってることは間違いないかな。


安田
そういった取り組みがあるからこそ、社員の方は当事者意識をもって仕事に取り組んでいらっしゃる方が多いのかなという印象を受けました。


木村
ただ、そこを目的にしている人は意外と少ないかもね。目的にはなってないかな。そういう結果を楽しみにするけれども、一番はお客様かな。どこの部門に聞いてもお客様のことをすごく大事にしていますね。


安田
どこの部門でもお客様に対する意識がとても強いんですね。


木村
特に製造の人たちは直接お客様の顔を見ることはありませんが、自分たちが約束をした納期から1日でも絶対遅らせないという想いがあります。そのためすごく必死に頑張ってくれますし、お客様への想いもあり、共通認識はそっちの方が強いかもしれませんね。


安田
なるほど。すり合わせをしたわけではなく、営業も製造の方もお客様を大事にするっていう認識は共通して持っていらっしゃるんですね。


木村
そうだと思います。それはすごくみんな強いと思います。


成長は与えられるものではない

安田
御社だからこそ得られる成長機会は何だと思われますか。


木村
成長って、難しいんですよ。これも与えられるものではなくて、自らがこうなりいたいってことに対して、そこに近づいていくことが成長の実感ですよね?


安田
たしかに、能動的か受動的かで大きく変わりますね。


木村
4Sもそうなんですけど、掃除をやらされてると考えるかやりたいと考えるかなんですよ。一番苦心してるのはそこかな。自分たちでこうなりたいという想いをまず持つことがね。目標って上からの数字の押し付けなので、それだけ与えられてもね。


安田
成長にはならないですね。


木村
なぜその目標が必要なのかとか、そのプロセスどうなんだとか、そういったことで納得してもらった人は多分成長の実感があると思います。ここが納得できないと成長の実感なくやらされる仕事になっちゃうかもしれないですね。


安田
得られる成長機会というような聴き方をしてしまったんですけど、木村様が考えるのは、こういった成長機会を自分で得られるっていうことに気づくことこそが成長につながると考えていらっしゃるのかなと思いました。


木村
成長って与えられるものじゃないと思ってます、僕は。学生さんと違うよねって。社会人になればこれをやりたい、って自分で決められるんですよ。それを上司とすり合わせすると、「あ、じゃあそれやってみようか」って可能性がありますよね。


安田
成長の機会も自分次第ですね。


木村
勝手にやったらだめですよ、もちろん。でもそれが会社の目標に合致したことであれば、「おお!それやってみましょうよ」と。それはそれで成長の機会ではないですか?


安田
そうですね。社会人は自由な反面責任も大きいなっていうのは学生ながらに思っていたのですが、木村様の価値観を聞き、自由だからこそチャンスもあるという風に思えました。


モノづくりに込められた想い

安田
創業の精神を心がける環境の中、どういった相乗効果で独自性が強いモノづくりが出来ていると考えますか。


木村
社風ということであれば、先ほどのお客様を大事にするということ。お客様の笑顔、喜んでもらう姿、これがないと利益にもつながりませんし、販売も伸びません。つまりお客様に喜んでいただくことが一番モノづくりにつながってるんじゃないかな、という風に思います。


安田
喜んでいただくことを念頭に置くことで、独自性が強いモノづくりができるんですね。
お客様への対応において、従業員の方に意識してほしいことは何かありますか?


木村
それぞれが良いと思うことを一生懸命やっていただいたらいいと思っています。できたら、驚かせてもらえるといいんですけどね。


安田
詳しくお伺いしたいです。


木村
+αですよね。お客様がまあこれぐらいって思っているところを、なんか一つでもいいから、+αできたらさらに良いですね。ただそれは、こうしてくださいって言ってやるものではないので、一人一人がそういうことができたらそれはもちろんいいですよね。


安田
先ほども仰ってた、満足を超えて感動、ですね。それを直接言うのではなく、社員の方には自分自身で気づいてほしいなっていう認識をもっていらっしゃるんですね。


木村
そうですね。成功体験からそれを一人一人が良い経験として持ってもらい、次につなげてもらうっていうのが一番じゃないですかね。


主役ではないけれど

安田
最後に学生に向けて一言お願いしてもよろしいでしょうか。


木村
我々の会社は先ほど申し上げましたように上場していません。そして商品はメインの設備ではなく、そのメインの設備に付帯して付いてくる商品、だから主役じゃないですね。例えですが、一つ一つのステージで言っても主役じゃなくて、脇役にもならない、もしくは照明ぐらいの勢いの立ち位置です。だけど、必要なんですよ。


安田
そうですね、無くてはなりませんね。


木村
ただ、日本でそういう分野って実は非常に強いんです、世界的に。日本だけではなく世界中のモノづくりを支えているのは実は日本だっていうことを、ぜひ学生のみなさんには伝えたい。製造業というところにもっと興味を持ってほしいし、まだまだ成長できます。世界中を相手にどんどん伸びていく、そういう分野だと思います。楽しいと思いますよ。


安田
脇役の立ち位置である製品がメインの製品を支えることによって、効率化を測っていると思いますし、実際そういった助けをしたいと思う学生さんもたくさんいらっしゃると思います。ぜひそう思う方々にこの記事が届いたらいいなと考えております。


木村
楽しみにしてます。


安田
本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。


木村
ありがとうございました。



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