中央大学3年生
佐藤 浩平
株式会社エム・シー・サービス
山田 和弘
学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。
株式会社エム・シー・サービス 代表取締役社長 山田 和弘様に、お話を伺いました。
中央大学総合政策学部。大学のゼミでは、地方創生や公共選択論を学んでいる。2023年9月よりクイックでインターン活動中。現在は就職活動中。人材業界を中心に幅広く就職し活動。お酒には弱いけど、趣味はダーツ。自宅にダーツボードがある。本気になったら止まらない。
1975年生まれ(48歳)。大学卒業後、グループ会社の山田建設株式会社に入社。設計、財務などを経て2001年より中国に赴任、山田建設出資の住宅設備工場の新規立ち上げから携わる。2014年に帰国し、株式会社エム・シー・サービス取締役に就任。2016年代表取締役に就任し、現在に至る。
目次
佐藤
はじめに、山田様のご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
山田
大学卒業後に、グループ会社の山田建設株式会社に入社し、設計、財務などを経て、2001年より中国に赴任をしました。2014年に帰国しまして、そこから株式会社エム・シー・サービスの取締役に就任し、2016年には代表取締役に就任しました。
佐藤
13年間も中国にいらっしゃったんですね。ご自身の価値観に変化はございましたか。
山田
はい。習慣、文化、考え方であったり、様々なことが異なるんですよね。そのあたりでは、かなり苦労はしました。最近よく言われる「多様性」という考えの下地を作ってくれたという意味で、すごく感謝しています。
佐藤
多様性の考えは、御社の「新たな挑戦をし続ける企業文化」につながっているように思います。また、これまでのご経験は現在の職業に活かされているのでしょうか。
山田
そうですね。設計を2年ほどやっていましたので、実際にマンションの法的な要求や図面の読み方がわかるとか、設計という面では役に立っていると思います。また、財務を1年半経験して数字はある程度理解できるようになりましたので、企業の経営に活用できているなと思います。
佐藤
HPも拝見させていただいて、不動産を管理する方のニーズをしっかりと把握されているように感じました。そういったところでも、しっかりとご経験が活かされているのですね。
山田
住宅といってもやはり多岐にわたりますからね。やっぱりいろいろな知識を持っていないと、お客様に満足していただけないなって思いますね。
ニーズを汲んだトータルサポート
佐藤
マンション管理における御社の独自性は何でしょうか。
山田
当社は分譲マンションの管理をメインに扱っています。一部屋一部屋、所有者がバラバラなマンションのことですね。私たちは、この所有者の集団である「管理組合」と契約をします。ただ、管理組合といっても一般の購入者なので、建物に対する専門的な知識を持っているとは限りません。そこで、いろいろなサポートをするのが分譲マンションの管理です。
佐藤
サポートというと、お金の管理などですか。
山田
一般的には、定期的に行う理事会や総会、管理組合の資金管理等が主なサポートの業務になります。
当社の特色は、建築工事の部門を自社で抱えていることですね。経年劣化したマンションに行う大規模修繕工事も当社は元請けとしてやらせていただいています。
佐藤
分譲マンションの購入者に満足してもらうための、トータルサポートをなさっているのですね。
信頼から新たな受注へ
佐藤
管理棟数を着実に増やしていっていらっしゃいますが、新規顧客獲得のために取り組んでいることはありますか。
山田
新規営業に関しては、過去にはよくネットにある「一括見積もりサイト」みたいなところに登録したり、地道にチラシを配ったりとかはしていたんですけれども、現在は全てやめました。
佐藤
今は特に何もされていないんですね。やめたのには何か理由があったのですか。
山田
はい。実は結構費用対効果が悪いんですよね。
仮に受注できたとしてもあまり利益率が良くなくて、場合によっては赤字になることもあるんです。
佐藤
そうなのですね。新規顧客の存在はやはり重要だと思うのですが、営業活動なしにどうやって受注を受けているのでしょうか。
山田
当社が管理させていただいているマンションのお客様から、ご紹介いただいたことがあったんです。「実はもう一つマンション持っているんだけど、そっちの管理会社あまり良くないから、試しに見積もりだけでもお願いできない?」と言われました。いろいろお話しさせていただいくなかで、それが受注につながったんです。
佐藤
信頼を得ているからこそ、御社に頼みたいと思われたのでしょうね。
山田
ありがたいですね。ご紹介だと、あまり競合他社に揉まれることもないんですよ。お客様が認めてくれればご紹介いただける。ですので、急がば回れではないですが、新規営業はやめて自分たちの本業をしっかりやっていこうよ、と舵を切りました。
おかげさまで、今では年間20~30件はご紹介をいただいて、最終的には10棟くらいは契約させていただいています。
佐藤
年間30件近くご紹介いただいているのは驚きです。
HPで管理棟数が右肩上がりになっているのを拝見していたので、新規営業にすごく力を入れているのかなと思っていました。ですが、費用対効果が低い新規営業ではなく、既存顧客との信頼を確立することで、ご紹介から管理物件を増やしていらっしゃったのですね。
お客様に喜んでもらうことに注力する
佐藤
御社が力を入れて取り組んでいることをお伺いしたいです。
山田
力を入れているのはIT化ですね。機械でできることは機械に任せて、私たちは、お客さんが喜んでいたけることに注力したいです。例えば、お困りごとをヒアリングして解決したりだとか、新しい提案をしたりだとか、そういったことに集中できるように積極的にIT化に力を入れています。
佐藤
だからお客様満足度があがっているのですね。IT化によって残業時間は短くなりましたか。
山田
そうですね。残業時間が減少したのはこれだけが原因では無いんですけれども。1日8時間の中で、どうすればひとつでも多くのタスクを実施できるかをみなさんに意識してもらうことで残業時間は減りました。手段としてIT化とか、いろいろな細かいことはしているんですが、やっぱり一番は意識だと思いますね。
社内意識を変えるには
佐藤
社員の意識を変えていくためにどのようなことに取り組んだのでしょうか。
山田
一番は、勤怠を管理したことですかね。勤怠の管理が今まで杜撰だったので、管理職に対して要求をしましたね。私も全員分の勤怠の管理を最初に始めた時は、1週間に1回くらい、すべての勤怠を確認しました。
佐藤
100名以上の社員さんをですか。
山田
はい。「この人は申請出てないけど、19時、20時まで仕事をしているの?」「打刻がないけど、どうなっているの?」こういったことをかなり言いました。勤怠もマネジメントですから、そういった意味でも管理職には要望しました。
佐藤
山田様の働きかけを、管理職から現場という順に落とし込んで意識を変えていったというわけですね。
就業時間に資格取得?
佐藤
新入社員の成長を支援する取り組みであったり、社内環境についてお伺いさせていただければと思います。
山田
資格取得支援をしています。他の企業もやっているんじゃないかと思うんですけれども、当社は、就業時間内で、会社の費用負担で受けてもらっています。
佐藤
え、就業時間内に受けているんですね。
山田
はい。特に1年目の方は、仕事が目一杯詰まっている状態ではないので、スキマ時間があれば、就業時間内でも「勉強していいよ」と、資格の取得はかなり後押ししているんじゃないかなと思います。
佐藤
資格支援に力を入れておられるんですね。
山田
マンション管理の業界全体で見ると、そもそも新卒採用をおこなっている企業が少ないんですよ。
やっぱり、即戦力ってことで資格を持っている方を中途採用するのが主なやり方みたいで、新卒者を受け入れて資格の取得から業務を覚えてもらって、みたいなことをやっている企業は少ないですね。
佐藤
なるほど。では、なぜ新卒採用をしているのでしょうか。
山田
中途採用ばかりだと、やはり年齢層が高くなっていってしまうのでね。なんでもそうなんですけれども、バランスというか、いろいろな年代の社員がいることによって、いろいろな意見や考え方も出ると思っています。目の前の業務をこなすだけではなくて、少しずつでも進歩していかなければならないと思っています。
佐藤
山田様が持つ中長期的な視点が、企業の成長につながっているのですね。
成長するには、原因解明から
山田
もう一つの成長支援は、業務マニュアルです。過去に新卒の方、若手の1、2年目の方々の退職が相次いだ時期がありました。なぜかと思いアンケートを取ったところ、入社して驚いたことの欄に、 マニュアルがないことがあげられていたんですよね。旧態依然の企業って、あんまりマニュアルってないんですよ。もちろん退職の原因はそれだけではないと思うんですけど。
佐藤
そうだったんですか。知らなかったです。
山田
主にOJTで、先輩社員からの指示にその場その場で対応する形式をずっとやっていたんです。でも、今指示された仕事が、最終的に何に活用されるのかわからないことが不満につながっていると若手社員の声からわかりました。
佐藤
たしかに、自分の仕事がどう形になっているかわからないとモチベーションは下がる気がします。
解決策としてどんなことをなさったのですか。
山田
3、4年前にコンサルティング会社に依頼し業務の見える化を始めました。特にベテランになると当たり前のことなので、「なんでマニュアルを作らなきゃいけないんだ」という意見が多かったですね。かといって若手だけに任せると逆に業務自体が全面的にわかっていない可能性もあるので、外部の協力を仰いだわけです。毎年更新もしてます。
佐藤
積極的に社内改善をされていますね。
山田
自分が経験していない仕事でも、マニュアルを見れば業務の流れをつかめます。そういった意味では、中途採用の方も含めて経験の浅い方でも活用できるものだなと思っています。これもある意味、成長支援につながる策なのかなと。
情熱から議論に
佐藤
御社に入社されて活躍している社員の方々の特徴であったりとか、山田様の求める人物像についてお伺いさせていただきたいです。
山田
情熱だったり、熱意を持っている人が活躍していると思っています。最終的に到達する点は一緒でも、その手段は山ほどあると思うんですね。情熱があると、1つ目やってダメでも、2つ目、3つ目と、諦めないでチャレンジするんですよね。
佐藤
情熱のある社員って、例えばどのような行動にあらわれるのでしょうか。
山田
やっぱり自分の信念みたいなものを持っているので、変な話ですけど、私と議論になっても譲らないです。そういう方は。
佐藤
それほど熱い方がいらっしゃるんですね。
山田
はい。私が「そうは思わない」と言ったとしても、「いや、自分は絶対にそれが正しいと思います。」とか。なかなか折り合いがつかない場合は、一回私が引きます。
佐藤
ええっ!
山田
ただ冒頭にお話しした、「お客様に喜んでもらう」という軸からブレていることをやろうとしていたら、それはストップしてもらいますけど。お客様に喜んでもらうことを実現するために、というところがブレていなければ、私と意見が違ってもやってみてもらいます。
佐藤
そうなんですね。
山田
でも、先程申したとおり1つ目の手段が失敗しても、2つ目、3つ目の手段に挑むわけですね。でも、そうすると最終的に何とかしてクリアしちゃうんです。
佐藤
熱意でクリアしてしまうんですね。
素直さと自律
山田
求める人物像は、今言った話と逆で、素直に前向きに捉えてくれる方がよいと思っています。入社してすぐに、仕事に対して情熱を持てるか、と言われたら難しいと思うので。
佐藤
そうかもしれないですね。
山田
まずは仕事のやり方や人の知識を吸収することが必要なので、素直に前向きに捉えてくれる方は吸収が早いなと思っています。それと、自分を律することができる方でしょうか。自身を甘やかすことは、いくらでもできてしまうのでね。
佐藤
情熱があるに越したことはないけど、素直で自律できる人ということですね。本日は、貴重なお時間ありがとうございました。
山田
ありがとうございました。
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