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「人に寄り添う」という正解のないことへの取り組み

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「人に寄り添う」という正解のないことへの取り組み

関西大学4年生

竹中 優輝也

社会福祉法人宮城厚生福祉会

大内 誠

interview

学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。

今回は、社会福祉法人宮城厚生福祉会の法人事務局長 大内誠様に、お話を伺いました。

関西大学4年生
竹中 優輝也

関西大学商学部。2023年4月より株式会社クイックで就業予定。小学3年生から高校3年生まで10年間サッカーをしており、現在は社会人フットサルチームに所属。趣味はギターで弾き語り。特技は鳥肌を自由自在に出せること。睡眠と運動と犬が大好き。

社会福祉法人宮城厚生福祉会
大内 誠

1980年生まれ、2005年宮城厚生福祉会に入社。2013年に法人役員となり、2017年に法人事務局長に就任。 その後法人内の施設長を兼務しながら、「経営とよい福祉は人が作る」と、育成と人を育てるチームづくりを重視してきた。「大変だ」と見られがちな福祉だが、やりがいが次の活力を生み出す素晴らしい仕事であると発信する。この気持を共有する仲間とともに学び成長し続ける。

目次

 

竹中:

本日はよろしくお願いします。大内様は新卒で御社に入社されたのですか?


大内
はい。そうですね。


竹中
なぜ、福祉業界を選ばれたのですか?


大内
大学のサークルや教育実習で福祉施設を見学する機会があり、そこで人とのつながりを勉強させていただいて、福祉業界にどこかで恩返しをしたいと思っていました。
さらに、福祉業界は制度が良くならないというイメージがあり、そういった難しい業界に挑戦してみたいという気持ちもありましたね。


竹中
なるほど。入社したときから経営をしたいと思っていたんですか?


大内
入社当時はまさか自分が今のような立場になるとは思っていませんでした。
求められる役割に徹することをずっと追求してきた結果、先輩方から信頼をしてもらって今のポジションになれたのかな。やろうと思ってできることではないかなと思いますね。


自分の想いが体現された場所で働く

竹中
 大内様が求められてた役割に徹することを続けてこれた理由はありますか?


大内
どんな会社にも方針があると思いますが、私は運良く「会社の方針」と「自分の気持ち」が一致していたので、気持ちよく会社の方針に沿って自己実現を追求してきました。
大変なこともありましたが、仲間と協力してきました。


竹中
「自分の気持ち」というのは、先程おっしゃっていた、福祉業界の制度が良くならない難しい環境に挑戦するという想いのことでしょうか?


大内
そうですね。
加えて「困っている人と共にありたい」という気持ちですね。


竹中
なるほど。
御社の理念を拝見しまして「乳幼児から高齢者まで安心して育ち暮らすことのできるまちづくりを広く市民とともにつくりあげる」の最後が「まちづくりをする」ではなく、「市民とともにつくりあげる」となっている意味を教えていただきたいです。


大内
私達の法人は1997年に創立なんですが、元々は医療法人が保育園を経営していました。
その保育園は戦後間もない頃、困っている人たちが自らの手で設立したという歴史があります。
そんな歴史から、市民のみなさんの要求に基づいてサービスを提供するだけではなく、私達自身が地域の一員として参画していく、そんな想いが込められているんです。


竹中
なるほど。そういった意味があるのですね。
そういった想いがあるのを知って、入社を決められたのでしょうか?


大内
当時はそこまで知らなかったですね。ただ、困っている人に寄り添っている法人だと感じていました。
お金が払えず、サービスを受けられない人たちをどうにかしたいという気持ちから、制度自体を変えていかなければいけないと発信している法人でした。そういう部分に共感していましたね。


「安心」の中で渦巻く「自分だったらどうか」という視点

竹中
大内様が考えるグッドカンパニーは、困っている人たちと共にありたい、助けたいという想いを持っている会社ということでしょうか?


大内
そうですね。私は社会のニーズにこたえることが会社や組織の使命だと思っています。
そこにどれだけまっすぐに取り組もうとしているか、それが最低限の条件だと思います。


竹中
なるほど。福祉業界に対する社会のニーズがどういったものなのか教えていただきたいです。


大内
そうですね。では、お子様ができたとき、家族がご高齢になったとき、どんな保育園やどんな高齢者施設に預けたいと思いますか?


竹中
バスに児童が取り残されて亡くなってしまったという悲しいニュースを見たとき、1人1人に寄り添っているのか疑問でした。1人1人にしっかりと寄り添ってくれる施設に家族を預けたいと思います。


大内
そうですよね。みなさん「安心」を求めていると思います。それが社会のニーズです。
保育園に来るお母様方は自分の仕事だけでも大変ですから、保育園のことで悩んでほしくないんです。
信頼してもらえる環境づくりを目指しています。
さらに、私の祖母がお世話になった施設では、どんな部屋にも鍵がついており自由に移動できなかったり、トイレに扉がなくカーテンで仕切られていました。実はこれが、「安心」に繋がっているという意見もあります。否定はできないし、正解はないんです。
けれど、自分の大切な家族を預けるからには、「自分だったらどうか」ということを常に考え、人に寄り添う施設運営をしています。


竹中
非常に難しい問題ですね。高齢者の方が、職員に赤ちゃん言葉を使われるのが嫌だという記事を見たことがあります。大内様が言うように自分がどう接してほしいかを考えることは大切だと感じました。


大内 
私がこの法人に入ったとき、「おじいさん・おばあさん」と呼ばないように指導されました。

1人1人に名前があるのだから、名前で呼びなさいと言われていましたね。


誤解を解くために伝える、知ってもらう

大内
竹中さんは、福祉業界にどんなイメージをお持ちですか?


竹中
一言で言えば「大変そう」です。そこには2点あって、1点目は、人材が足りず1人に対する負担が大きいのではないかということ。もう1点はコロナ禍で重症化リスクのある高齢者がいる施設は、常に緊張感のある場所なのではないかということです。
大内様の入社前、入社後で福祉業界へのイメージのGAPはありましたか?


大内
入社前は竹中さんと同じく、大変そうだと思っていましたね。
7K(給料が安い、休暇が取れないなど)という言葉もありますからね。
実際は、定期昇給もボーナスも休暇もちゃんとあります。
大変な仕事かもしれないけれど、何より働きがいのある大切な仕事だと感じます。


竹中
福祉業界は、勝手なイメージが先行してしまっていると感じます。
そのイメージを変えていくために発信したい想いはありますか?


大内
我々が実践していることを伝えていきたいです。
家にいても「家に帰りたい」と言う認知症の方がいて、その人が帰りたい場所についていってみるという取り組みをしたところ、自分が幼い頃住んでいた場所に向かい、もうその家はないのだと気づき、そこからは家に帰りたいと言わなくなったということがありました。どんな人にもその人なりの想いがあって行動しているので、寄り添ってあげたいです。その為の実践の部分を発信していくのが私の使命だと思っています。


現代のリーダー論 良いリーダー、良い組織とは

竹中
HPを見て大内様の「人に寄り添う」という想いが従業員にも浸透していると感じたのですが、従業員に対してなにか取り組んでいることはありますか?


大内
チームで働くということを大切にしているので、我々が実践していることに共感してもらう努力をしています。1人だけが「私は寄り添ってます」という組織は嫌です。
そういった組織づくり・仕組みづくりを意識しています。

 

竹中
組織・仕組みづくりの中で心がけていることはありますか?


大内
事故対策委員会、食事委員会など様々な委員会を設置して、それぞれに代表者を決め、現場の声を吸い上げやすい様にしています。
私がすべてを決めてしまうような組織はダメだと思いますね。みんな会社の思いに沿って頑張ってくれる人ばかりなので意見を否定することは殆ど無いですね。


竹中
やはり、大内様の想いが組織全体に伝わっているんですね。
私自身、このHRsessionのインターンシップを運営する側に回りつつあるのですが、組織づくりの部分でアドバイスがあれば教えていただきたいです。


大内
リーダー1人が指示を出し全体を動かす組織は良くならないと思います。
不足しているところを誰かに補ってもらう、チームの状態を見極め多様なリーダーシップを発揮できるリーダーが現代における良いリーダーだと思います。


竹中
リーダーシップと聞くと優秀な人が1人で引っ張っていくということを想像してしまいますが、
現代では足りない部分を見つけ、周りと協力しながら解決していくということがリーダーシップなのですね。


大内
支えてもらうリーダー、すごくいいと思います。介護業界では50代の方に20代のリーダーが指導をするなんてことがよくあるんですよ。チームの状態を見極めてスタイルを変えていくことが重要だと思います。


竹中
リーダーってやっぱりすごくかっこいいと思いますし、憧れます。
そういった方のように社会人として成長してくためにはどんな事が必要ですか?


大内
目的に向かっていくという力ですね。成長する瞬間は色々あると思いますが、会社の方針と自分の目指すものが一致しているときが一番成長すると思います。一致していないとお金のためになっちゃいますよね。


竹中
なるほど。それでは、御法人を受けに来た学生の目指すものが理念と一致していないと感じたら、教えてあげたりもするんですか?


大内
面接では伝えないですね。面接の前に必ず見学をしてもらうようにしています。そこで我々の想いを示して、共感していただけているかを確認します。
人材を増やしていきたいんですが、やはり想いの一致というのは大切ですからね。


お金では買えない それが働くということ

竹中
なるほど。
自分の想い・目標を設定し、そこに向かって熱意を持って働いていくためにはどんな事が必要でしたか?


大内
私の場合は入社当時から期待をかけてもらっていたんですよね。
期待にこたえようとする、それも一つ大事な要素だと思います。


竹中
入社当時の自分にアドバイスするとしたらどんなことを伝えますか?


大内
難しいですね(笑)
仕事をやめたくなっているときの自分になにか伝えるということであれば、人間関係や環境が少し良くないだけで、自分の想いと会社の方針がズレてしまったということではないんじゃない?と確認したいです。
そういう時って分からなくなるものなんですよね。


竹中
なるほど。
人間関係や周りの環境が悪くなってしまっている時に、「自分と会社が合っていないんだ」と錯覚してしまうということですね。


大内
そうですね。そこは常に確認が必要だと思います。


竹中
ありがとうございます。大内様は働くことに何を求めていらっしゃいますか?


大内
時代的に我々の年代やそれ以上の方は、お金を稼ぐ手段だと考えている人も多いと思います。
けれど、やっぱりお金じゃないですよね。他人の幸せのためだったり、社会に貢献して自分の心も豊かになったり。多分、私は宝くじがあたっても働くのを辞めないと思います(笑)


「人に寄り添う」マニュアルには存在しない業務

竹中
就職活動中は自分がなんのために働くのかを考えるいい機会だと思います。
他に何かあればお話させていただきたいのですが、なにかございますか?


大内
そうですね。私達の法人はこの20年くらいでかなり大きな組織になりまして、これからは人づくりをしていかないといけないと思っています。社会のニーズに応える組織の中にいるのは結局「人」ですからね。
それが私の使命でもあります。


竹中
大内様がその使命を達成するために取り組んでいることを教えていただきたいです。


大内
想いを発信し続けること、そして実践していくことですね。
例えば、「お弁当を作れないから子供を遠足に参加させたくない」という親御さんに対してクッキング教室を開き、無事に遠足に参加してもらえたというような「人に寄り添った取り組み」を発信していきたいです。


竹中
すごいですね。
「人に寄り添う」という部分が本当に素敵だと感じました。


大内
ありがとうございます。
多分、福祉業界の詳しい話を聞くのは初めてだったと思いますが、話を聞いていてこの業界が大変なだけではないと少しでも感じていただけたら、それを伝えていただけたら嬉しいです。


竹中
もちろんです。
本日は貴重なお時間をありがとうございました。



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