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誠実の積み重ねが生んだ100年

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誠実の積み重ねが生んだ100年

北海道大学3年生

髙橋 栞奈

株式会社家具の大正堂

渋谷 金隆

interview

学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。

今回は、株式会社家具の大正堂の代表取締役社長 渋谷 金隆様に、お話を伺いました。

北海道大学3年生
髙橋 栞奈

北海道大学理学部。2025年卒業見込み。外資メーカーやコンサルを中心に就職活動中。幼少期はバレエ、中高はバイオリンをやっていて、加えて幼い頃からやっていたスキー、スノーボードが趣味。自分の興味があるものにはとりあえず挑戦することがモットー。

株式会社家具の大正堂
渋谷 金隆

1980年早稲田大学商学部卒業。1983年米国ペンシルバニア州立大学MBA卒業。同年㈱富 士通入社。1987年㈱家具の大正堂入社。販売、配送、商品仕入れ、店長等を経験し1997年 代表取締役社長就任。趣味は読書、旅行、山登り、テニス。

目次

 

髙橋
本日はお忙しい中ありがとうございます。御社は、100年以上の長い歴史の中でプロ意識をもってお客様へのご対応を続けていらっしゃいます。今日は、その秘訣や思いを知りたいです。よろしくお願いします。


渋谷
こちらこそ、よろしくお願いいたします。


未来のために選んだ厳しい道

髙橋
HPを拝見して渋谷様はたくさんのことに挑戦なさっている方だという印象を受けました。渋谷様の就活から今に至るまでの経緯をおうかがいしてもよろしいですか。


渋谷
学生時代は、東京の大学に通っていて、何も考えずに就職活動に入ろうとしていました。ですが、就活を始める前に、両親からアメリカにビジネススクールがあるという話を聞いたんです。それで興味をもって、周りが就活をする中、私は今までしていなかった勉強を始めたんです。特に英語に力を入れました。

 

髙橋
とても大切ですよね。


渋谷
でも、全然足りなかったんです。語学の勉強も足りず、大学院の試験も受けていたんですが歯が立ちませんでした。そうこうしているうちに卒業の時期になってしまって、日本にいても仕方がない、と思い立ってアメリカに行きました。入学の許可ももらっていないのに。笑


髙橋
そうだったんですか!


渋谷
アメリカの語学学校に行って遊ばずに勉強していた結果、縁があって小さな町の大学に入学できることになりました。アメリカの大学で初めて英語で経済学の勉強をしたら面白くて、いろんなことを学びました。するとビジネススクールからも入学の許可が来たのですが、英語力が歯が立たなかったので、入学してからかなり勉強しましたね。


髙橋
アメリカに渡ってからも努力を続けられたのですね。


渋谷
そうしないとやっていけなかったですから。
日本に帰ると、これからはコンピュータの時代だと聞いたので、そういう企業に就職しました。家具の大正堂を継ぐことはもう決めていたので、できるだけ厳しい営業の世界を経験しようと思って選んだ企業です。就職してからの4年間は営業をしていたのですが、本当に厳しい仕事ばかりでした。


誰かのため」への執念

髙橋
ハードスケジュールを経験して、転職なさってから活きたことはありますか?


渋谷
そうですね…。やはり、分からないことをそのままにしないこと、頭を下げて教えを乞うこと、人の調整能力は活きています。一人では仕事ができないですから、自分の主張だけしてもだめだし、相手の話を聞くだけでもだめです。どうやって折り合いをつけて1つのものを作るかはすごく勉強になりました。


髙橋
なるほど。HPの渋谷様のメッセージに、アメリカでのご経験から「努力すればどんな壁も乗り越えられると知り、また資質で敵わない方にも対抗できることも学びました」という内容がありましたが、具体的にどんなご経験があったんですか。


渋谷
努力でカバーするしかないことが多かったんです。例えば、英語もできないのに、半端じゃない量の本を読みなさいとか、よくわからないのにディスカッションをするとかもありました。あるいは仕事でも努力以外に勝負ができないこともあって、能力がない分を教えを乞ったり、一生懸命仕事をしたりしかできなかったんです。


髙橋
努力を継続することは私にとっても課題だと思っているんですが、秘訣はありますか。


渋谷
私も教えてもらいたいですね。笑 
どうでしょう、執念なのかな。


髙橋
何に対する執念ですか?


渋谷
自分の満足じゃなくて、誰かのためになろうという気持ちです。仕事って、自分一人で完結するのではなく、自分は過程の一部を担っているだけじゃないですか。それがわかると、みんなのために頑張ろうって思えるんです。それが大事なことじゃないですか。


髙橋
たしかに周りのために何かしたいって心があると、いつも以上に頑張れることがあります。


渋谷
その通りです。全部一人でやろうとしちゃうと、続かない、あるいは倒れちゃう。
全員が、私はバトンを受けているランナーなんだと思って次の方に繋ぐ、最終的に多くの方が喜んでくれるんだって思えていると頑張れますよね。でも、失敗しても自分が悔しい思いをすればいいんだって思っちゃうと気持ちが折れるかもしれないです。


髙橋
そうですね。そういう考え方が今の経営にも繋がっているんですか。


渋谷
そうですね、私一人でできることなんてないですから。どんな仕事でもそうですよね。


目的の100年ではなく、結果の100年

 髙橋
渋谷様の経営に対する思いが見えました。御社は100年以上地域の方に愛されていますが、その秘訣は何でしょうか?


渋谷
信頼関係を築いてきたから100年以上も続けられたのだろうと思います。さっきも言ったように、まずは社内の信頼関係もないと、一人で頑張っちゃったら多分折れちゃいます。みんなとだったら頑張れる、支えあったり励ましあったりアドバイスをもらったり、そういうので長く続けられているんじゃないですかね。


髙橋
社長という立場になっても、知らないことは聞いたり、アドバイスをもらったりしているんですか。


渋谷
わからないことはわからないので、もちろん聞いています。


髙橋
社長から聞かれると嬉しい気持ちになりますね。頼られていると思うともっと頑張ろうという気持ちにもなります。


渋谷
頼らざるを得ないですよ。採用活動も担当者が頑張っているから、彼が仕事を全うできるように私もサポートしますし、わからないことは訊くし。全部分かっちゃったら従業員もいらないです。そんな企業ないですよ。


髙橋
今のお話で、従業員の皆さまとの信頼関係の築き方というのは学べたんですが、お客様との信頼関係はどう構築されているのですか。


渋谷
従業員がやってくれているのはお客様の身になって考え行動することです。嘘をつかない、気持ちの良い挨拶をする、お客様との約束を大事にする、そんな当たり前のことを誰でもちゃんとできるんです。先輩の姿を見て後輩も学んでいるので、伝統になっているんでしょう。


髙橋
背中を見て学んでいるんですね。


渋谷
それがずっと続いた結果、100年経ったのだと思います。最初に100年やろうと思って始めたわけじゃなく、振り向いたらそんな歴史ができていたと思うので。創業者や先輩たちに感謝ですね。


髙橋
先輩がそうやって行動していると、当たり前のことでもかっこいいと思って真似したいと思いますし、身近に引っ張ってくれる方がいるとやる気も違ってくるなと思いました。


人として当たり前のことをするのが、誠実への近道

髙橋
先ほど、従業員への信頼についてお話がありましたが、信頼できるのはどんな方ですか。


渋谷
信頼できる人は、仕事ぶりを見ればわかります。やっぱり素直で誠実な人、頑張れる人です。自己主張が激しい人ではないですよね。周りの人たちの力を借りて頑張れる人、感謝できる人、嘘をつかない人、その場だけで取り繕わない人じゃないかな。パーフェクトな人なんていません。その中で、伸びて成長すると期待できるのはそういう人ですね。


髙橋
期待ができる方というのが、誠実だったり感謝できたりする方ということですね。
HPの求める人物像にも誠実な人とありましたが、理解が深まりました。
誠実であることって難しいと思うのですが、普段から意識しておくといいことはありますか。


渋谷
人として当たり前のことをするんです。何かというと、小さいころに言われたことです。例えば、嘘をつくなとか、ありがとうって言おうとか、挨拶はしようとか、間違いを認めてごめんって言おうとか、いつもできているかというと、できていないことも多いですよね。


髙橋
社会人になってしまうと、普段の感謝や、姿勢、心がけを忘れてしまう瞬間もあるけど、忘れないようにするということが大事ということですね。


渋谷
そうですね、周りが努力していたら自分も頑張れるけど、周りがやっていないと忘れていっちゃうじゃないですか。だからそういう意味でも社風が大事でしょう。人についても一緒です。友達に素晴らしい人もいればそうじゃない人もいるでしょう。


髙橋
いますね。笑


渋谷
一緒ですよね、家庭でも企業でも。学生の皆さんにはいい社風の企業に就職してほしいです。素晴らしい企業がいっぱいありますから。


髙橋
私もそういう企業を見つけていきたいです。


渋谷
有名な企業だから無条件にいいわけでもないですよ。小さくても頑張っている企業もあれば、いつの間にか利益だけを追求している企業もあるだろうし。それをちゃんと見つけるのが就職活動です。今のうちから探して、目を養ったらいいんじゃないかと思います。


相思相愛は、知ることから始まる

髙橋
まさに目を養うところで悪戦苦闘中です。どうやったら目を養えるんでしょうか。


渋谷
私は説明会で、働いている現場を見に来てくださいと言うんです。私たち小売業だと、お客様として見れますし研究しやすいですよね。どんなことが面白いか、嫌なことはあるかとか、残業はどうかとか、何でもいいので従業員に質問してほしいです。それが選考の条件で、お店を見ていない応募者の方は選考に進んでいただけません。というのも、入った後のギャップはお互いに不幸だと思うんです。相思相愛を実現したいと思っています。


髙橋
相互理解のためにも現場を見ることが大事なんですね。


渋谷
だから採用活動でも現場主義なんです。納得できる場所じゃないと、仕事をしていても面白くないですよね。弊社では中途採用もしています。中途の方って既に仕事をしていて、いろんな理由で辞めたくて仕事を探しています。理由の一つには、思っていたのと違ったこともあると思うんです。わかっていたら別の企業を選べていたはずですから。今は転職が当たり前なのかもしれないけど、できればいい企業と巡り会ってほしいですからね。


髙橋
先ほど、現場に行って従業員の方々に聞いてほしいとおっしゃっていましたが、今渋谷様にお聞きしたいです。働いている中で楽しいことは何ですか。


渋谷
採用活動は楽しいと思っているんだろうなあ。面接では1:1で学生の話を聞けますし。その方がどんな方なのかを知るために、ありのままを見て話したい、聞きたいということで、コロナ禍でも対面で面接していたんです。その方の持っている雰囲気はなかなかウェブでは伝えられない、キャッチできないのでそうしていました。


最終面接だからこそ、一切妥協しない

髙橋
そうなんですね。ちなみに、最終面接での合格者の割合と合格基準はどうなっているんですか。


渋谷
3回面接があって、最後が私の面接です。私との面接まですでに選考を2回経験されている方々なので、ほとんど合格ですね。不合格を出す方は、相思相愛じゃなく、他社を選ぶだろうなという方です。最終面接に来る前に、信頼する役員たちが私よりも厳しい目で見てくれているからできることです。


髙橋
信頼している方々と同じ目線に立って評価しているんですね。


渋谷
はい。あとは、採用で迷ったら採らないようにはしているんですよ。 


髙橋
それはなぜですか。


渋谷
自分の中で納得しきれていない部分があるといい結果にならないと思っていて、妥協したくないんです。学生の皆さんにも、来ないなら早めにノーと言ってくださいと言っています。お互いに誠実でいたいので、学生にも求めますね。 


髙橋
やはり共通するのは誠実さなんですね。今のお話を聞いて、採用活動が楽しいのに驚きました。
学生からすると一番緊張する瞬間なので、楽しんでいただけているというのは学生からしても嬉しい感じがします。


渋谷
私ももちろん緊張するんですよ。 


髙橋
そうなんですか!


渋谷
相手が緊張しているのを見るとやっぱりね。素直な方ほど緊張するんですよ。だからこちらもちゃんとしていないと失礼だし、緊張をほぐしてあげたいと思います。その方の素の、本当のいいところを表現できるようにするのも楽しいです。


髙橋
そうなんですね。採用活動1つをうかがっても、誠実さをすごく感じます。


継続力は、周囲からの刺激

髙橋
HPを拝見して、御社はプロ意識を保ち続けていらっしゃると感じました。
気を付けていることや、従業員の皆さんに伝えていることはありますか。


渋谷
あんまり意識したことはないんですよ。さっき言ったように、人として当たり前のことをやっていればそれがプロ意識になってくるのではないでしょうか。私は、瞬発力よりも継続力だと思っています。100点の仕事を1回するより、70点をやり続ける力が大事じゃないかなと思うんです。ムラがある方は気持ちも安定しないし、付き合いにくいです。気分屋の方って話しかけていいのかわからない、だから、浮き沈みが激しい方には心を開けないですよね。


髙橋
警戒心を持ってしまいますね。


渋谷
いつも明るくいろという話ではないんです。平常心でいつも同じように接してくれる方がいいですよね。プロ意識とはまた違うのかもしれないですけど、人として当たり前のことをいつもしようと努める方がいいんじゃないですか。


髙橋
続ける力が大事なんですね。人としての当たり前のことを継続するというのが、共通して出てくるワードですが、この考え方はご両親から学んだのですか?それともほかにご経験されたことがあるんですか。


渋谷
もちろん両親から学んだことも多いです。しかし、そういう考え方を教えてくれたのは、経営の師匠、京セラの稲盛和夫さんです。経営者の勉強会があって、稲盛さんが亡くなった後も続いているんです。素晴らしい方々が集まっているので、私一人で努力しているだけでなく、そういう方々からいい刺激をもらっています。 


髙橋
近くにいい刺激をくれる存在がいると、自分の人間力も日々磨かれる気がします。


渋谷
そうですね、いて心地いいし、あの方々も頑張っているから自分も頑張ろうと思えます。そういう仲間って独りよがりじゃなくて、自分たちにできることがあればお助けしますよって考えるんです。 


背伸びせず、等身大で

髙橋
今の大学生ってそういう仲間に出会える機会が減っていると思うんです。私もそこに悩んでいるんですが何か策はありますか。


渋谷
私も大学の時にそんな仲間に出会えていたか考えたら、思い浮かばないです。でも、何十年もたって、当時の友人の人間的素晴らしさを知ることもあるんですよ。当時の私にはわからなかったし、その方も社会人になって悩みを乗り越えたり助けられたりして人間的な魅力を増していったんだと思います。学生のときはまだ自分本位。でもそれでいいと思いますよ。


髙橋
このままでもいいのでしょうか。


渋谷
背伸びする必要はないんですよ。今の時点でそんなに素晴らしい人がいたら困っちゃいますよ。


髙橋
社会人になっていろんな方に出会えればいいんですね。私はすごく焦っていたんです。就活をしていて、社会人の方々のお話をうかがうと、なんで自分とこんなに差があるんだろう?私は社会人になってこうなれるのかな?って想像ができなかったんです。でも、焦らなくてもいいんですね。


渋谷
大丈夫ですよ。髙橋さんは今いくつかの企業を見ているんですか。


髙橋
今3年生なので、サマーインターンに向けて企業を見ている最中です。


渋谷
いい出会いがあるといいですね。背伸びせずに等身大で。いいところって必ずあるし、採用担当者は見ているから、いいところを見せようとしなくても見つけてくれますよ。


髙橋
ありがとうございます。背伸びせず、等身大ですね。


一人海外旅行から得るもの

髙橋
最後の質問なのですが、これから御社を受ける学生に向けて、メッセージがあればお願いします。


渋谷
最終面接とか内定者と話していると、残りの学生生活で何をしたほうがいいですかってほとんどの方が聞くんですよ。


髙橋
確かに聞きたくなっちゃいます。


渋谷
やっぱりそうなんですか。私は、ぜひ海外旅行に行ってほしいと話しています。できたら一人で。なぜかというと、自分で考えて、決めないといけないからです。社会人は自分の頭で考えることが大事なんです。最初から求められはしないんですが、何年か仕事をすると、自分で考えて決める、もしくは提案するようにならなきゃいけません。海外旅行に一人で行くと、思考と決断の連続なので、国内もいいですが、よりチャレンジするなら海外ですね。


髙橋
やはり、渋谷様のアメリカでのご経験からのアドバイスですか。


渋谷
私はアメリカに行った後、ヨーロッパやアジアを巡って帰ってきたので、その経験があるかもしれないです。今でもいい思い出です。世界を知ることができるし、嫌でも比較するようになるので日本のことも知れます。自分の至らなさもわかりますね。


髙橋
私も行ってみたくなりました。今日は貴重な時間をありがとうございました。学びと発見が多い充実した時間を過ごせました。


渋谷
こちらこそありがとうございました。


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