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関わってくれた人、みんなを幸せに
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広島大学3年生
汪 源
多摩冶金株式会社
山田 毅
学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。
今回は、多摩冶金株式会社の代表取締役社長 山田 毅様に、お話を伺いました。
広島大学経済学部。大学生活では、JAZZ研究会と囲碁部に所属。毎日サックスを吹かないと禁断症状が出る。趣味は銭湯とサウナめぐり。2023年10月からドイツに留学予定。
1976年生まれ。広島県出身。99年東京外国語大学外国語学部卒業。森永乳業株式会社入社、日本国内での工場での2年間の勤務の後、中国・上海の営業所での駐在を経験する。2004年多摩冶金株式会社入社、2017年代表取締役社長就任。現在に至る。
目次
汪
本日はよろしくお願いいたします。初めに山田社長の経歴についてお伺いしても良いでしょうか。
山田
私は東京外国語大学を卒業したのち、食品メーカーに入社し、事務系として配属されました。その後上海の営業所で2年間の駐在を経て、現在の多摩冶金株式会社に入社しました。
汪
ファーストキャリアは食品メーカーだったんですね。前職ではどういったことをされていたんでしょうか。
山田
食品メーカーでの仕事は労務を担当していました。ボリュームが多いのにすごく幅の狭いものでした。私はそこにあまり魅力を感じなかったんですよね。
汪
なるほど。
山田
その後、上海に駐在員として派遣された時に、資金繰りから、営業まで幅広いダイナミックな仕事を経験して、小さな企業でも、小さなことから大きなことまで幅広く扱うことができる仕事に興味があることに気づいたんです。
うまれた仕事に対する価値観
汪
実際に駐在される以前は、ご自身の価値観に変化が起こると想像されていましたか。
山田
いえ、想像していませんでした。やっぱり実際に駐在して、労働環境の変化があると、価値観って変わるんですね。駐在している方が条件はいいのですけど、それよりも自分の価値観にあった中小企業で働くことに魅力を感じました。
汪
その後、多摩冶金株式会社にはどういった経緯で入られたのですか。
山田
駐在中に、多摩冶金という祖父が創業した企業に電話して、入れてもらうことになりました。当初は継ぐことはあまり考えていなかったのですけれどね。
汪
入社後は、想像通りでしたか?
山田
それが全く違うんですよ。 やっぱりものづくりって、最初は現場からなんですよね。
現場からの下積み、技術、営業、すべて経験していく必要があったんです。
汪
スタートは一般職からだったんですね。
山田
はい、ただ最終的にはここを背負って立とうと考えていたので、ほかの社員とは見方が違うことにギャップを感じながら働いていました。
汪
当初思い描いていた理想の働き方と、現実は違ったのですね。
山田
はい。しかし、それも今後経営者になっていくための重要なプロセスだと考え、必死に働いていました。
その中で次第に自分のやりたかった仕事を任されるようになっていきましたね。
「本質」を知るということ
汪
当時からずっと大切にされていることはありますか。
山田
本質を知ろうということ、です。ものづくりを始め、製品が使えるのかどうかっていうことと、それが本当に役立つのか考えることを切り分けて考えることは難しんですよね。
汪
ただ使えるだけでは不十分ということですか。
山田
そうですね、例えば熱処理であれば、出来上がった製品の表面の硬さや具合だけではなく、中身の構成まで計画通りになっていなければいけない。 全てをしっかりと自分で把握する必要があるんですよね。
汪
これはお仕事にも通じてくるものですよね。
山田
もちろん仕事で何か起こったときも、ただ事実として受け止めるだけは危険で、なんでそうなったか、その理由やプロセスをしっかり理解することが大事になってきます。
汪
山田社長はどの段階から意識し始めたのでしょうか。
山田
新入社員の時はわからなかったですよ。中国に駐在に行って環境が変わった時に初めて本質を知ることの大切さに気付きました。
汪
環境の変化がきっかけになったんですね。
山田
一度自分のいる場所から抜け出して、違ったところから物事をとらえてみることでその本質を知ることができたんです。仕事も変わったし立場も変わりましたけども、ずっと大切にしているのは、この仕事の本質を見失わないようにして、物事に接する気持ちですね。
みんなをプラスに
汪
では、経営者として意識されていることはなんでしょうか。
山田
一言でいうとみんなを幸せにすることですね。日頃から技術の最先端を行きましょうとか、お客さんのサービスに徹しましょうとか、いろんなこと言うんですけども、それらは結局、自分たちや周りの人々が幸せになるっていうことをゴールとしているんですね。
汪
みんなが幸せっていうのは、山田社長の中でどういうイメージを持たれているんですか。
山田
一つは物的な豊かさと、もう一つは精神の豊かさですね。
物質的な豊かさはお給料をもらえるとか、休みが多いとか皆さんいろんなものを想像されると思います。
汪
福利厚生といったところですね。
山田
それは当然あるべきだと思うのですが、精神的豊かさ、つまりいい人間関係を築いているとか、その仕事にやりがいを感じているか、も一緒に満たしていくことが必要だと思っています。
汪
精神面を含めて、関わる人全てを幸せにするという想いですね。ステキですね。
山田
私達の取引先だったり、もちろん社員自身であったり、その人たちが全員何かしらのプラスの影響を受けるというのが、目指してるところですよね。
多摩地区から、世界に
汪
「多摩地区で一番働きやすい企業」を目標に掲げているとお伺いしたのですが、まずは多摩地区からみんなを幸せにしていこうということでしょうか。
山田
はい、地域に根ざしているからこそ、関わっていただいている人も多いですし、その地域に対する貢献っていうのは非常に重要だと思います。
汪
御社は大連に工場がありますし、幅広い海外展開をしている印象を受けたのですが、今後は世界にも進出していくんでしょうか。
山田
そうですね、多摩地区という拠点を構えながら、なおかつ世界的に発信していくプロセス取ろうと考えていますね。
汪
そこには山田社長の海外駐在の経験が生かされていたりするのですか。
山田
はい。グローバルに考えていきたい、グローバルに働きたいという想いが強くあるんですよ。それをもとに今後の海外でのビジネス展開を考えていきたいなと思っていますね。
絶えず「挑戦」し続ける
汪
HPを拝見したときに、老舗ベンチャーという言葉が印象的だったのですが、どういった意味でしょうか。
山田
うちは創業から70年経っている老舗なので、変えたくても変えられないこともあると思うんですよ。なので、そういったことを一度なしにして頭を柔軟に挑戦していこうという想いがあるんです。
汪
老舗でありながら、様々な挑戦をどんどんしていけると、かっこいいですね。
山田
グローバル展開もその一環なんですが、振り返れば、多摩冶金の歴史っていうのは常に挑戦の歴史だったんだなと思います。
汪
常に挑戦、ですか。
山田
祖父の代に当時の最先端だった熱処理の設備に投資して、今度はそれで得た利益をグローバル展開に回していっているんです。これらは私達のスピリットの、誠実・直感・挑戦、という三つの重要な想いなんですね。
汪
グローバル展開をしていく中で困難なことはあったりするのでしょうか。
山田
ありますよ。わからないことが。そういった時は非常に困りますよね。
弱さを認め、みんなで
汪
何か心がけていることはありますか。
山田
素直に自分の弱さを認めるんです。完璧な人間は誰もいないはずだし、弱さを認めた上でそれを皆さんにちゃんと表明して、それで謙虚に助けを求めるということですね。
汪
社長という立場でありながら、弱さを見せることができるんですね。
山田
もちろん助けを求めることと、努力しないっていうのは別の話ですよ。自分で最大の努力をした上で、やっぱりここは私にはできないと思うことがあるので、そこはしっかりと社員を頼ることを意識していますね。
汪
社長になったときからずっと意識されていることなんですか。
山田
実は私も社長になってから強く思うようになりました。
前までは業務の範囲もすごく狭かったですし、自分でなんでもできる気がしていたんです。
汪
社長になってからはどうだったのですか。
山田
社長になると、最終的にはすべて自分の責任になるんです。その中で考えてみたら、どの社員も私と一緒になって乗り越えてもらわないといけないことが多々あると気づきました。
汪
アットホームな職場とお聞きしましたが、実際に山田社長自ら現場に足を運ばれているのですか。
山田
現場って、実際に何が起こっているかちゃんと自分の目で見極めることができる場所なんですよね。それこそ本質を知ることができる場所なんです。そうすることで社員から何か話を聞いたときにもしっかりと対応ができますよね。
汪
本質を自分の目で確かめながら、ほかの人の意見にも耳を傾けるということですね。
社員さんとの接し方で意識されている部分はありますか。
山田
まず私は経営者のポリシーをちゃんと伝えるべきだと思っています。その中では、厳しいことを話さなければならない場面もあるのですが、なんでこう言わなきゃいけないのか、その理由をきちんと伝えることを意識していますね。
汪
納得してもらえるよう、人と徹底的に向き合っているんですね。
多摩冶金の財産、「人」
山田
どこで働いていても、結局人は、企業に付加価値を与える、あとはそのお客さんに価値を与える、そういう存在なんですよね。
汪
なるほど。
山田
社員には時には厳しく接する時もあると思うんですけど、それはその社員が成長して付加価値を与えられる存在になることを願っているからなんです。もちろんそれで成長していたら褒めるんですけどね。その繰り返しです。
汪
はっきりと意思をお伝えになるのは、みんなが幸せになってほしいという山田社長の優しさがあるからなんですね。
山田
人生の中で、働いている時間って非常に長いじゃないですか。3分の1以上は働くわけです。
人生の3分の1を消費しているわけですから、ちゃんと成長していかないといけないし、企業としても成長してもらわないと将来がないと思うんですよね。
汪
そういったところからみんなを幸せにしたいという想いがあるんですね。
山田
私自身、みんなを幸せにするのは険しい道だと感じています。しかし、多摩冶金が100年企業を目指す上で人との関係は欠かせないんです。
汪
最後に学生に対してアドバイスをお願いします。
山田
学生に対して大人はいろんなことを言います、とりあえずそこは1回無視して、がむしゃらに生きればいいと思います。今目の前にあることをがむしゃらにこなすことが学生の本分だし、学生だからできる無茶なことでもあると思います。
汪
本日はステキなお話ありがとうございました。
山田
こちらこそありがとうございました。頑張ってください。
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