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あたりまえであり続けることが提供価値

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あたりまえであり続けることが提供価値

関西大学2年生

神丸奈々

株式会社トヨコン

明石 耕作

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

今回は、株式会社トヨコン 代表取締役社長 明石 耕作様に、お話を伺いました。

関西大学2年生
神丸奈々

関西大学経済学部。2026年卒業見込み。大学では、学園祭実行委員会に所属。実践的な業務を経験できること、社会人の方とコミュニケーションを取る機会を得られることに魅力を感じインターンシップに参加。趣味は音楽を聴くことや、カラオケ、温泉やサウナ、旅行など。

株式会社トヨコン
明石 耕作

1965年8月生まれ。大学卒業後、5年間の社会人経験を積み豊川梱包工業(現在のトヨコン)へ入社。 2003年、38歳で代表取締役社長に就任し現在に至る。 好きな言葉は「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」

目次





神丸
本日は貴重なお時間を頂きましてありがとうございます。はじめに明石社長の経歴についてお伺いしてよろしいでしょうか。


明石
大学を卒業後、当時トヨコンの一番の取引先に就職をし、5年間修業をしてトヨコンに入社しました。父が60年前に豊川梱包工業という会社を創業して、しばらくして株式会社豊梱という社名に変わりました。10年間様々な部署で経験した後、社長になりました。


神丸
取引先の会社に就職されてから会社を継がれたのですね。元々お決めになられていたのでしょうか。


明石
決めていたわけではありませんでしたが、私が社長になることが銀行やお取引先様、お客様にとっていい選択だと言われたので、私も頑張ろうと思い会社を継ぐことを決めました。


神丸
周りからの支持があったのですね。元々物流に興味があったのですか。


明石
そうでもなかったですね。物流ってとても地味ですよね。神丸さんも物流業界についてあまり知らないのではないですか。


神丸
そうですね。あまり知らなかったです。


明石
そうですよね。物流業界は輸送だけでなく保管、荷役、梱包、流通加工、情報処理などたくさんの仕事がありますが、どちらかというと主役にはならない仕事なので、私はよくわからないなと思って入りました。でも今は、とても良い仕事だなと思っております。


物流業界の奥ゆかしさ

神丸
良い仕事だなと思う理由や物流業界の魅力をお伺いしたいです。


明石
そうですね。先ほどもお話しした通り、いいも悪いも含めて主役ではないんですよね。
例えばコンビニに行くと、とても多くの商品があると思いませんか?


神丸
いっぱいあると思います。


明石
ありますよね。だけど毎日たくさんの人が買うとコンビニの棚は空になってしまいます。それなのに、いつも商品があふれていますよね。それはアルバイトの人が積んでくれたり、運送会社さんが夜中、皆さんが寝ているときに運んでくれたりしているんですよ。このように、物流は人の知らないところで空気のように存在している、縁の下の力持ちなんですよね。


神丸
なるほど。


明石
例えば今年の元日に、石川県で地震がありましたよね。道路が寸断されて車が通行できなくなって荷物が届かないときに初めて、「ああ、物流って大事なんだな」ってみんな気づくんですよね。だけど、そんなことに気付かず普段の生活ができたほうがいいじゃないですか。だから僕らは、地味に人のお役に立っている仕事だなあという誇りをもっておりますね。


神丸
なるほど。たくさんの地道な仕事が、私たちの生活を支えているということですね。


明石
だからなくてはならないもの、空気がなくなると困る、みんなが死んでしまうように、物流がなくなってしまったら世界中の人が困るのですが、それを「物流頑張ってるぞ」と言わない奥ゆかしさが好きです。


神丸
すごく謙虚な心で…


送料は無料ではない

神丸
物流業界の課題として、最近だとニュースで2024年問題を目にしたのですが、明石社長が考える物流業界の課題は何でしょうか。


明石
課題は本当にいっぱいあるのですが、とにかく物流業界は裏方の仕事なので、世間から一段低く見られてしまうところがあります。例えば、通販で品物を買うときに、送料無料と書かれていませんか?


神丸
よく見ます。


明石
いくら以上買ったら送料無料とか。今僕は色々な業界団体のところに行って、一生懸命伝えていることが、送料は無料ではなく、誰かが負担してくれているということです。送料がかかると聞いたら損した気分になるでしょ。


神丸
そうですね。無料だとありがたいなと思います。


明石
そういうところから、私はこの業界が不当に低く見られていると感じています。送料は無料ではなく誰かが負担をしてくれているのです。その価値をしっかり認めていただきたいと考えています。


神丸
なるほど。物流業界の地位の向上が一番の課題ということなのですね。


明石
そうですね。お客様にお金を支払う価値がないと思われているということは、働く人たちにとっても魅力がないと思われるじゃないですか。そうするとやはり就職しようと思う人が少なくなって、皆様のもとに商品が届かなくなってしまう可能性があるのではないか、それは社会全体とってもマイナスなことなのではないかなと思います。ですから、我々の業界の地位を向上するということが日本のために大事なことだと思っています。


神丸
なるほど。明石社長は2024年問題についてどのようにお考えですか。


明石
そうですね。2024年問題はすごく注目されていますし、とてもいいことだと思います。運送の仕事はとても尊い仕事で、乗務員の方たちの社会的地位をあげるというのは大事なことだなと思いますし、彼らにもっと給料をあげるなど、働く環境を良くしてあげたいなと思っています。


神丸
なるほど。規制がはじまって明石社長にとっても営業を続けていくうえでダメージがあるのではと思っていたのですが、ポジティブなイメージを持たれているのが意外だなと思いました。


明石
やはり物流業界に注目してくれているというか、やっと重要性に気づいてくれた人達がいるなあという感じで、これを機に地位向上を図れるようにしたいと思っています。


女性の活躍

神丸
物流業界について考えたときに男性が多く活躍しているイメージは想像できて、女性が活躍している場があまり想像できなかったのですが、女性が活躍できる場はありますか。


明石
そうですね。今、日本全体でいうと女性の社会進出も増えてきていて、弊社に就職してくれる人の女性の比率が増えてきています。それは、力仕事が減ってきて、機械でできるようになってきたことも要因としてあげられます。昔は汚かったり、冬は寒くて夏は暑かったりというのが倉庫のイメージとしてありましたが、だんだん物流現場や倉庫の環境も良くなってきています。


神丸
働く環境がいろいろ改善されてきているのですね。


明石
以前のような環境だと女性だけではなく、男性も働きに来てくれないので、少しずつ改善されてきて、女性が働ける場は多くなってきていると思います。むしろ今、学生さんで元気な女性が多いと感じることが増えています。


神丸
そうなんですか!


明石
積極果敢な女性が増えてきている気がしていますね。だから女性の雇用は増えてきていると思いますし、物流にかかわらず女性の進出ができると思っています。


神丸
そうなんですね。トヨコン様に来る女性もやっぱり活気のある女性が多いのですか。


明石
とにかく明るくて元気な人が必要だなと思って、快活な人を採用するようにしています。


会社は社風が大事

神丸
他にこういう人材が来てほしいなという思いはありますか。


明石
とにかく私は会社というのは社風が大事だと思っています。相手に寄り添える、人が好き、そうした人たちが増えることによって、社風が変わってくると思うので、この考え方に共感してくれる人を採用していますね。社長になって新卒採用を始めた当初から一貫して採用基準に入れていますので、18年前と比べて社風は良くなっているのではないかなと考えています。まだまだですけれどもね。


神丸
なるほど。やはり、社員インタビューでも社員同士の仲が良く、居心地が良いとあったので、そのお話は納得しました。他にも雰囲気をよくする工夫などはされているのですか。


明石

今、世の中で言われている社員エンゲージメントを少しずつ、意見を聞きながら改善していくようにしています。何でも言える雰囲気にしようとか、男性も育休をちゃんと取れるようにしましょうとか。トヨコンはユースエール認定企業といって、たとえば離職率が3年以内に2割を超えない等、厚生労働省が定めている基準を満たしている企業で、社員も休みを取りやすいと言ってくれています。


神丸
物流業界は忙しいというイメージだったので休みが取りやすいというのはすごく魅力的にうつるのではないかなと思います。


明石
最近は休暇を取って自分のやりたいことをする人がとても増えてきていますね。ほかにもビジョンミーティングというのを行っています。年に一度、私が愛知県内と関東、併せて8拠点あるトヨコンの事業所をまわって、全部署の社員に会いに行きます。そこで経営理念やビジョンを伝え、話し合いのテーマを決めて社員同士で話し合ってもらう機会を作っています。


神丸
どのようなテーマで話し合いをされているのでしょうか。


明石
テーマは毎回変えていて、今年度は入社10年目にこうしたいとか、定年になったらこうしたいとか、これからどうしたいかということをテーマにしました。普段仕事ではしない趣味の話もしてもらったりしています。


神丸
仕事以外のお話もされているのですね。意識的に行っていらっしゃるのでしょうか。


明石
そうですね。実は採用活動では、社長として学生と最初から最後まで関わっていて、入社するまでは深く関わるのに、入社後は社員と関わる機会がめっきり少なくなってしまいます。それは本当によくないなと思っていまして、社員も現場が忙しくて社内行事に参加できない時もあるので、社員との話し合いの機会は私から作らないといけないなと思っています。


神丸
積極的に社員の方々との関わりを作られているのですね。


明石
やはり場を作るのは大事だと思いますね。みんなに元気で働いてもらいたいだけなんですけど。


神丸
なるほど。そういうテーマがあっての取り組みで、交流が盛んだというのはすごく素敵だと思いました。先ほど社内行事とおっしゃっていましたがなにか行事ごとをおこなっているのですか。


明石
毎年7月に経営指針発表会を行ったり、2月には役職者の人たちと半期を振り返る機会を作ったりしています。イベントごとでいうとプロギングというイベントを開催しました。


神丸
プロギングでしょうか?


明石
日本プロギング協会さんにご協力いただきながら行っている行事で、希望する社員や地域の人たちと一緒に、地域の公園に集まりジョギングをしながらゴミ拾いをするイベントで、年一回開催しています。今のビジョンの中で地域貢献活動をしようというのを入れていて、私たちはBtoBの会社で、今まで地域に対する貢献が足りていなかったと感じていたため、始めることにしました。やってみると、地域の方々だけでなく社員も喜んで参加してくれているので、良い取り組みだなと思っています。


神丸
なるほど。BtoBの会社でそのようなことをやられているというのは驚きでした。


世の中は変化するもの

神丸
様々な事業を展開されていますが、明石さんが社長をされる中で大切にされていることはありますか。


明石
そうですね。今、世の中は変わり続けているから、自分たちも変わり続けなければいけないと、考え続けることでしょうか。例えばスマートフォンができただけで、地図や時計、デジカメなど様々なものが売れにくくなってきています。スマホがあれば、別々で持つ必要がなくなるものが増えてきました。ということは、どんな業界でも一つの技術革新によって世の中が劇的に変わっていくということが起こり得るのです。つまり、変わらないのは「これからも世の中はどんどん変わっていく」ということだけです。


神丸
たしかにそうですね。


明石
時代はますます変わっていくので、自分もずっと変わり続けるつもりでいます。社長になって20年が過ぎましたが、リーマンショックを越えたら新型コロナがやってきて、次はデフレからインフレになるぞ、とか。そんなことが次から次へと起こるので、だんだん慣れてきました。次はどんなことが起こるのかを想像することが、楽しみになっています。


神丸
なるほど。よくわかりました。物流業界も生活になくてはならないもので、これからもあり続けると思うのですが、物流業界でもこれから新しい取り組みは始まるのでしょうか。


明石
そうですね。


変化への対応には若い力が欠かせない

明石
これからトラックが自動運転になり、AIを使う時代になると思うんですよ。今、弊社もDX化に取り組んでいますが、それに必要になるのが若い力なんですよね。神丸さんのようなZ世代の人達はデジタルネイティブと呼ばれているんですよね。スマホなんかもう簡単に操作できますよね。


神丸
そうですね。スマホは必需品ですね。


明石
そうですよね。皆さんとても速く文字を打ちますよね。
そういう若い子たちが会社の仕組みを変えてくれるのではないかなって。動画で色々なものをアップしてくれますし、社内にもXやインスタグラムを発信してくれる若い社員が増えてきました。


神丸
そうなのですね。情報発信にも力を入れられているのですね。


明石
若い社員のおかげで、様々な新しい取り組みが始まっています。


神丸
なるほど。インスタグラムではどのようなことを発信されているのでしょうか。


明石
インスタでは学生向けに採用情報や面接のときに気を付けること、また物流業界関連の情報を発信してもらっています。


神丸
学生にとってはそういう情報はためになると思いますし、手軽にインスタグラムで情報収集できるのはすごくありがたいと思います。


実際に聞いてみる

神丸
最後に、今後御社を志望する学生に伝えたいことはございますか。


明石
物流業界といっても決してひとくくりではないですし、どの業界でも実際に会社に行って、現場で働いている人たちに本音を聞いてほしいと思います。社長や採用担当だけの話を聞くのではなく、現場の社員の話も聞いてほしいですね。


神丸
実際に社員の方に聞くのがいいということですね。


明石
弊社は社員が自慢なので、社員に会って本音を聞いてほしいですね。社員にも会社のことを悪く言う人はいるでしょうが、それも含めて弊社の社風なのでね。


神丸
社員の方々が自慢なのはとても素敵だなと思いました。


明石
物流業界は縁の下の力持ちの仕事ですが、とても重要な仕事です。物流が止まるとすべての仕事が止まるくらいの影響力があります。また、私は仕事で人は磨かれて、成長すると考えていて、社員の成長が会社の成長に直結すると思っています。ですから、成長意欲のある方は、是非わが社に見学に来てほしいです。


神丸
ありがとうございます。今までのお話から社員の方々を大切にしているということがとても伝わってきました。離職率が低いというデータも見ましたが、社員の方々を大切にしている姿勢があるというのも、関係しているのかなと思いました。本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。


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