関西学院大学4年生
中西 麻衣
東洋ワーク株式会社
菅原 正秀
学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。
今回は、東洋ワーク株式会社 代表取締役社長 菅原 正秀様に、お話を伺いました。
関西学院大学社会学部。2024年4月より株式会社クイックで就業予定。就活では、化粧品業界から人材業界まで幅広く活動。大学では、フィールドワークを主とするゼミに所属して阪神淡路大震災被災者の方々に聞き取り調査を行っていた。趣味はエレキギターとホラー映画鑑賞。高校3年間はバンドを組んで活動していた。
1999年東洋ワーク警備事業部入社。2009年東洋ワークセキュリティ分社法人化、同年より常務、2013年社長。 2020年9月に東洋ワークへ移り、代表取締役副社長。2023年11月より代表取締役社に昇任。 49歳。宮城県栗原市出身。
目次
中西
本日はよろしくお願いいたします。まずは、11月に社長に就任されたばかりとのことですが、就任に至るまでのご経歴をお伺いしたいです。
菅原
前は東洋ワークセキュリティ株式会社で警備事業を営んでいました。警備事業というのは実は教育産業で、法廷教育を受けることで警備員になれます。教育産業の経験値を活かして、社員や入社していただける方に勉強や資格の取得という付加価値の機会を与え、お客様へのサービス、勤務していただく方の満足度、生産性の向上、賃金の上昇を実現したいと思っています。
中西
一見違う職種でもありながら、逆にその知見を活かして今の人材会社に活用しているんですね。
「量の経営」から「質の経営」へ
中西
菅原社長自身、様々なキャリアを経てこられたと思うのですが、ご自身の現状に対する満足度はどれくらいでしょうか。
菅原
私自身はまだ30%しか感じられていないですね。
中西
本当ですか?
菅原
社長になりましたからたくさん実現したいことがあります。例えば今人材不足じゃないですか。
中西
そうですね。
菅原
東北だけでいうと、497万人いる働き手世代が、2045年に290万人を切ると言われています。その中で、従業員数を増やして経営をしようという「量の経営」はもう無理ですよね。
中西
はい。
菅原
ならば1人1人のキャリア形成を援助したり、キャリアチェンジのきっかけを創ったり、その方の魅力や個性を活かせるようなチャンネルを会社の中でどんどん創っていきたいと思っています。
中西
ありがとうございます。人材不足に対応していくために、「量の経営」から1人1人 の質を向上させる「質の経営」へと移行されている段階なんですね。菅原社長の就任後のビジョンが明確に伝わってきました。
働きながら選択できる環境も大切
中西
御社ではキャリアチェンジ制度が導入されていると思います。1人1人のキャリアを広げるため導入されたと思いますが、御社のように全く違う業種へのキャリアチェンジが可能な企業は少ないと感じています。改めて導入の経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか。
菅原
弊社は新卒の方を多く採用させていただいていまして、私も最終面談をしています。 その際に「学生のころ学んだことと業種が全く違うけど何で希望してくれたの?」ってちょっといじわるな質問をするんですね。そうすると「実は自分が何をやりたいかよく分からない」という方が結構多いんですよ。就職氷河期って知っていますか?
中西
聞いたことはあります。
菅原
私はその時学生で、夢も希望もなくなっちゃって。でも「とりあえず飯食わなあかん」と門を叩いたのが東洋ワークだったんですよ、本音でいうと。
中西
そうなんですね。
菅原
でも就職してからは「営業に向いてるかも」「黙々と働く業務部門がいい」「日商簿記を活かして経理に進みたい」と思うことが色々出てくると思います。今の時代はそのポテンシャルをどう引き出してあげるかだと思っています。先程お話した通り、量の経営は無理なので、個々の生産性をあげる必要があるからです。そうなると向いていないと思う仕事を永遠とやらせるほど非効率なことはないじゃないですか。
中西
はい。
菅原
中西さんも、「やってみたけどすごい嫌だ」ってなったら続かないでしょう(笑)
中西
正直そういう経験はありました(笑)
菅原
そこで、会社の中にキャリアチェンジできる仕組みがあって手をあげられることが、 人の向上心や生産性をあげるいいきっかけになるのではと思いました。世の中の流れや価値観は変わっていきますから、半年ないしは1年単位でアップデートをしながら従業員や求職者の方々にとって、より良い形にしていきたいと思っています。
中西
私自身も就職活動をしていて、「会社を決める=今の段階で働き方を決める」というプレッシャーに押しつぶされそうになった時期があったので、そういった点では御社だと入社してから様々な選択肢を得ることが出来ると感じました。
リスペクトが生み出す関係性の質
中西
本人が「挑戦したい」という声をあげるというよりは、周りからの評価でキャリアチェンジをされる方が多いんですか。
菅原
今は実験的に進めている段階なので、キャリアチェンジ制度が社員全員に浸透しているわけではないんですよ。コロナ禍が終わり本格的に運用していこうと、今はこちらから発信をしたり、推薦があって適用したりするケースが多いです。
中西
推薦が多いという点で、従業員同士が互いの特性をよく見ることが出来ているという印象を受けたのですが、実際にそのような社風はありますか。
菅原
弊社の基本理念は「人間尊重」なので、リスペクトから入るべきだと考えています。 今世に謳われる承認欲求を満たすためには、自分や会社のメンバーをしっかりと見てあげるというのは大事なことであり、会社として大切にしていることでもあります。
中西
企業理念が体現されているんですね。
菅原
はい。でもリモートが定着してしまい便利な反面、伝わらない部分もあるので、今は対面でのコミュニケーションを増やして、その人の状態や状況の確認であったり、悩みを聞いてあげる機会を増やしていこうと思っています。
中西
便利になったがゆえに人と人との距離が離れてしまっている世の中で、逆に対面を増やしていこうという働きをされているんですね。キャリアチェンジのお話をお伺いしながらも、御社の暖かい社風も感じ取ることができました。
1人の社員がきっかけで広がった事業
中西
続きまして、IT分野の拡大についてもう少し詳しくお伺いしたいです。2030年にはIT人材が79万人不足とも言われており、IT分野の拡大は必須だと感じますが、領域強化の経緯を改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。
菅原
当社は偶然にも情報処理の勉強をしてきて今は製造をしている、という社員が多いんです。残念ながら就職のタイミングでご縁がなかったそうで。それなら「学んだことを活かしてITエンジニアを目指してみない?」なんて会話したことがきっかけでこの分野の拡大が始まりました。
中西
些細なことから事業拡大につながったんですね!
菅原
DX化が進む中で、お客様からもIT人材を求めるお声が増えてきていたこともあります。ただIT人材は枯渇していて簡単にアサインできない。ならば会社でチャレンジしたいと希望する社員に投資して、エンジニアとしての技術を身につけてもらえば、 お客様のお困りごとも解決して、社員のやりたいことも叶える、win-winの関係が生じると考えました。
中西
周りがその人の特性を見て、個性を活かす働き方を創出して与えるという点が、社員のことも考えており、また企業の成長にも繋がっていると感じました。元々情報処理を勉強されていた方がきっかけとお伺いして、専門性が問われそうな印象を持ちましたが、無知の状態からでも挑戦することは可能なのでしょうか。
菅原
可能です。実際『LPIC』という情報処理の資格を0から勉強して3か月で取得して 「社長やりました!」と言っていた社員も今月で4名くらいいましたよ。
中西
1か月で4名!凄いですね。
菅原
「これやりたかったんだ」というものをやって、しかも資格も取れて、それを活かして就労できるとなると、その方のモチベーションって上がりますよね。そうなった時の人材というのはものすごい力を発揮すると思っています。強制的ではなく自分の中からやる気を醸成させるため、会社ではどんなお手伝いができるかなとよく考えますね。
中西
社員さんを考える気持ちが制度として整っていて、実際に成果として現れているので、採用HPにある「私らしさが創る未来」が体現されていると感じました。
選択肢が尽きない会社でありたい
中西
今までお話をお伺いして、キャリアチェンジ制度やIT分野の拡大など、1つの会社で無限の働き方ができることを改めて知り、その魅力を再確認しているところです。今後働き方の幅や事業の拡大を通して、どのような企業になっていきたいですか。
菅原
無限の働き方と言われるとドキッとしてしまいますけど(笑)
中西
ちょっと壮大すぎましたかね(笑)
菅原
ただ、少子高齢化で時代が変わっていく中で、企業として元気に生きていかなきゃならないわけです。そのひとつの選択肢が海外人材やキャリアチェンジだと思いますが、まだ全然足りないと考えています。お品書きもずっとラーメンだと飽きられるから、夏には「冷やし中華始めました」というのも書かなきゃならないでしょう(笑)
中西
すごく分かりやすい例です(笑)
菅原
つまり、時代の潮流を読みながら、常にアップデートしていかないと駄目だと思っていますから、完成形はそれこそ無限に先かもしれないです。社員や求職者、新卒の方々に「この会社は選択肢が多くて面白い」と言っていただけるような選択肢をどんどん増やしていきたいと考えています。
中西
選択肢を増やし企業として成長していく中で、そこで働く社員には何を得てほしいとお考えでしょうか。
菅原
それは間違いなく「満足感」と「幸せ」ですね。
中西
それに尽きるんですね。
菅原
人間って実は一言で生きるし、一言で死んでしまう生き物であると思っているので、 生きる一言、一行動を、会社として率先して起こしていきたいなと考えています。そしてその方が秘めるポテンシャルのアウトプットができるような体制に近づけたいです。
中西
「一言で生きて、一言で死んでしまう」「生きる一行動を起こす」という考え方が、 非常に素敵で感動いたしました。
スキルアップは素直さから始まる
中西
最後に、御社で求められる資質についてお伺いしたいです。
菅原
素直さです。社会人になってからが本当の勉強で、ある種、学び直しになるんですね。学ぶためには真っ白いキャンパスが必要なわけですよ。これがいわゆる「素直さ」で、キャンパスに色んな知識、知見、経験を書き込んでいくことで、スキルアップできます。
中西
なるほど。
菅原
とは言っても、人間は本来みんな素直だと思っているので、素直さがスキルアップにつながることを気づかせてあげることが大切です。個人の強みを活かしてあげて、時にはキャリアチェンジで良いところを発揮していただける柔軟な取り組みをしていきたいと思っています。
中西
今お話を聞いていて「自分が何がしたいか分からない」というのも1つの素直さだと思いました。ただそれで怠惰になるのではなく、積極的に吸収していきたいという、 もう1つの素直さがあれば、御社だと周りが個性を活かすサポートをしてくれて、自分らしく働ける仕事に出会えるのかなと思いました。
菅原
そうそう。
中西
今回の対談で色々お話をお伺いできて楽しかったですし、御社のことを知ることができて嬉しかったです。ありがとうございました。
菅原
こちらも楽しい時間を過ごせました、ありがとうございました。
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