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変化する労働者の価値観に対応し、「求められる会社」を目指す

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変化する労働者の価値観に対応し、「求められる会社」を目指す

京都府立大学3年生

沖野 莉沙

株式会社全農・キユーピー・エツグステーション

皆川 英明

interview

学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。

今回は、株式会社全農・キユーピー・エツグステーションの代表取締役社長 皆川 英明様に、お話を伺いました。

京都府立大学3年生
沖野 莉沙

京都府立大学文学部。2024年卒業見込み。人材業界やメーカーを中心に就職活動中。クイックの企業理念に魅力を感じ、インターンシップに参加。趣味は料理•お菓子作りで、アルバイトで得た収入の多くをその材料費に費やしている。

株式会社全農・キユーピー・エツグステーション
皆川 英明

大学卒業後キユーピー株式会社に入社。入社後すぐにキユーピータマゴ株式会社に出向。 以後タマゴの製造に携わってきた。2020年2月代表取締役社長に就任。 趣味は写真、ランニング、スポーツ観戦。写真は賞を取るほどの腕前。

目次

 

 

沖野
本日はよろしくお願いいたします。まずは、皆川様のご経歴からお伺いできますでしょうか。 

 

皆川
大学卒業後、1983年にキユーピー株式会社に入社し、ただちにキユーピータマゴというグループ会社に出向し、青森、岩手、京都、岡山、静岡の順に転勤をし、20年間にわたって工場で製造業務を担当していました。その後キユーピータマゴ本社の品質管理部に2年間所属した後に、また広島、岡山の工場で製造に携わっていました。


沖野
全国各地の工場を転々とされていたんですね。


皆川
人生旅です。転居を伴う転勤はとても大変でしたが、振り返ってみると全国各地を色々と回れ、人、文化、食べ物などに直接接することが出来、貴重な景観でした。
そして今から10年前にキユーピータマゴの本社の生産管理部となり、生産本部本部長を経験した後、2019年から全農キユーピーに社長としてお世話になっています。


卵の可能性と「卵を割る」という技術

沖野
全農・キユーピー・エツグステーシヨンについて教えていただけますでしょうか。


皆川
キユーピーでは主力商品であるマヨネーズの原料となる卵を割る仕事をマヨネーズ発売から行ってきましたが、1960年代から次第に製菓・製パンメーカーが成長し業務用の卵の需要が急増したことにより、卵を割った状態の液卵の需要も高まったので、それらの企業をターゲットに液卵の製造、販売を開始しました。

 

沖野
なるほど。最初は卵を割るということに特化していたのでしょうか。


皆川
あくまでもマヨネーズの原料の卵が必要なので卵を割っていました。それと卵を殻ごと食べる人はいないですから、日本で生産される年間250万トンの卵はすべて割られるんです。卵を原料としている他の食品メーカーさんに代わって卵を割り、液卵としてお届けしているのですが、なかなかその価値に気づいてもらえなくてちょっと寂しい時があります。


沖野
確かにそうですよね。大量の卵を割るって、改めてすごい技術力が求められるんだと感じました。


皆川
そうなんです。
それと同じ1960年代に、海外からの冷凍全卵の輸入が拡大していきました。そこで日本の養鶏産業の今後の更なる発展を支えるために全農さんから共同出資という形で協力しないか、とお声がけをいただいたんです。


沖野
全農キユーピーさんは、日本の養鶏産業が海外からの輸入商品に負けないようにするという社会的役割があるんですね。


皆川
おっしゃる通りです。
つまり共同出資の目的は、通年の卵の需給バランスの調整、日本の養鶏産業の発展、卵の新しい市場の確保ということです。役割分担としては、全農さんが卵の供給を、全農キユーピーが液卵、乾燥卵の製造、キユーピーが液卵、乾燥卵の販売を担っています。


沖野
日本を代表する鶏卵加工企業と全農さんの協力で、日本全体の養鶏産業を支えていらっしゃるのですね。では、主な取扱商品にはどのようなものがございますか?


皆川
卵を割った状態の液卵や、それを乾燥させて粉末状にした乾燥卵、卵殻を衛生的に乾燥、粉末にした乾燥卵殻などがあります。卵の風味、泡立ち等の機能性は、生、冷蔵、冷凍、乾燥卵の順に変化が大きくなってしまうんですよね。


沖野
乾燥卵とは水で戻すと溶き卵のようになるものですか?


皆川
全く同じものにはなりません。風味や泡立ち等の機能性は生卵にどうしても劣ってしまいます。そこは卵の奥が深いところでして、やっぱり割った生卵とはどうしても違いが出てくるので、そこは我々が今後追及していくミッションですね。


卵全てを無駄なく使いきるために

沖野
乾燥卵を見たときに、私は食品系の学科に所属していることもあってですね、フードロスにも関連付けて環境への配慮が出来るような商品だと感じたのですが、企業として環境配慮についてはどうお考えでしょうか。


皆川
フードロスだけで考えると、確かに乾燥卵は常温で日持ちもするし、必要な分だけ取り出して調理すればロスにならないので良いですが、卵を乾燥させるという工程にエネルギーが必要なんです。そうすると、CO2の排出はどうしても発生してしまいますので、そこのバランスをどうするかですね。


沖野
難しいジレンマですね。


皆川
そうなんです。だから、我々が取り組むべき食品ロス解決のテーマとして考えているのは、卵を割るという作業についてです。卵全体における卵殻の割合はおおよそ10%、ということは残りの90%が我々の製品となることが理想形ですが、中々90%まで届かないんです。


沖野
そうなんですね。限りなく90%全てを製品化するということがゴールとなるわけですね。


皆川
そうでね。まだ80数パーセントという状態なので、残りをどの様に詰めていこうかというのが我々の食品ロスに対する向き合い方です。


沖野
はい、ありがとうございます。ほんの少しの数パーセントがやはり難しいんでしょうね。


皆川
全然、ほんの少しじゃないです。
それこそ、永遠のテーマなのかもしれません。


沖野
そんなに難しいんですね。


皆川
そこを追い求めるということが我々の企業価値なのかなとは思いますね。それを諦めちゃいけない。
そして、卵殻にあたる残りの約10%も再利用の対象です。こちらは肥料、飼料、プラスチックなど、ほぼ100%がリサイクル活用されます。


自分の行動を正解に導く力

沖野
「人材」という話題に移らせていただきたいんですけれども、今まで、皆川様が製造や生産といった現場に長くいらっしゃったと思いますが、製造現場では営業・販売とは違い、どうしてもお客様のお声が直接届くところではないのかなと思います。そういったところで働くうえでのモチベーションの源泉を教えていただきたいです。


皆川
やっぱり一番は、自分たちが今、直接かかわっている商品に対して、お客様が対価としてお金を出してくれて、お客様の卵原料としてご使用いただき、喜んでもらえる。そこが、製造している我々のモチベーションじゃないかな。


沖野
そうなんですね。これまで全農キューピーで働かれていますが、採用活動おける求める人材像って時代の変化とともに変わった部分はありましたか?


皆川
改めて人材像ってどう変わるんだろうと考えたときに、やはり自分たちが持っている仕事の軸が変われば人材像も変わるんだろうなと。そしてその軸というのは、卵というものに対して我々の「たまごの可能性を探しませんか」、「たまごに まっすぐ」、「まごころ込めて あなたの元へ」というモットーや軸が変わるようであれば、求める人物像も変わるのかな、と思います。


沖野
ありがとうございます。求める人物像の具体的な部分もお聞きしてもよろしいでしょうか。


皆川
具体的にどのような技術や知識など、入社前に身に着けてほしいとかは色々あるけど、根本的に学生のときの学びと社会に出たときの求められることは、私は違うと思う。学生の学びというのは、正解のある問題に対してその正解を導き出すということだよね。


沖野
そうですね。学生には、正解を導くための勉強で色々なことをたくさん覚え、その引き出しから答えを出す能力が求められてると思います。


皆川
でも社会に出ると、100%正解ではないものが圧倒的に多い。必ずそこにはメリットやデメリットがついて回るので、やはり一番は「正解のないことへ立ち向かう勇気」で、そのためには「好奇心」「行動力」「謙虚さ」そして「自己承認」が大事になってくると思います。


沖野
「謙虚さ」を持ちながら「自己承認」ですか?

 

皆川
はい。自分自身のことを好きでいてほしいということ。自己否定をしている人の行動や発信は周囲の人たちを、やっぱりネガティブにしてしますよね。それじゃあダメで、しっかりと自分自身を好きでいつもポジティブな行動、意見の発信する人の周囲には同じような人たちが集まり、そのなかで「好奇心」「行動力」「謙虚さ」をもって正解のない問題に立ち向かってゆけば、自ずと問題に対する正解に向かっていくと思っています。もちろん一人の力では向かっていくことは難しいので、周囲の人の協力が必要となります。


社長と社員が同じ目標を追い求めるためには?

沖野
では、様々なお考えをお持ちの社員様方の方向性や価値観が会社と乖離しないように、どのようにコミュニケーションを取っているのか、意識していることなどございましたら教えていただけると嬉しいです。


皆川
明確なビジョンを持つということが一番大切かな。そして、その明確なビジョンに対して、実際の現場にはギャップがあり、そのギャップを埋めるためには、現場の人とのコミュニケーションをとって、現場の方々が同じ方向を向くような具体的な行動指針を作る。でもこの具体的な行動をいうのが難しくてね。意外とそこがバラつくんです。伝え方ですね。


沖野
そうですね。伝え方って難しいですよね。


皆川
一言で漠然と「上手にやってね」じゃなくて、「上手というのはこんな状態なんだよ」ということを示してあげる。こういうことを繰り返していけば、めざすビジョンに対する課題解決、目標達成に向かっていくし、人の成長にもつながるのではないかなと思います。


沖野
伝わり方は人それぞれというお話に付随して、製造の現場で障がいをお持ちの方が少し多くいらっしゃることが表彰されたことがおありだとお聞きしたんですけど、そういったところでの難しさはありますか?


皆川
多分ね、難しいと考えるから難しいと思う。
そういった方々が発信しやすいようなコミュニケーションを共有するようにしてそれに我々が向き合えば、その人たちが自分の社会での立ち位置を認識して役割を果たしてくれるようになるので、普通に接すことが一番大切だと思っています。


沖野
必要以上に特別扱いする必要はないんですかね。


現場を愛する社長でありたい

沖野
今も皆川様はスーツではなくて現場のお洋服を着られていますね。毎日現場でお仕事されている状況ですか?


皆川
なかなかそれができないんです。作業服は着てるんだけどなかなか現場側に行けなくてね。だから社長なんて嫌だって今でも思ってる。(笑)


沖野
そうだったんですか。あまり乗り気ではなかったんですか?


皆川
そりゃあ工場のほうが楽しいですよ。やっぱりモノが目の前にあってみんなでそれを作って、1日の仕事が「終わった」っていうのは現場冥利ですよ。よく言うんですけど、現場の仕事には「終わった」っていう一日があるんですけど、私の仕事は「終わった」ではなく「今日は止めた」。(笑)


沖野
そうなんですね、それは社長様にしか分からない苦悩なんですね。


「求める人物像」ではなく
就活生から「求められる会社」へ

沖野
先ほど、求める人物像は会社の目標次第だというお話について、時代や環境の変化にも付随する部分があるのかなと思うのですがいかがでしょうか?


皆川
求める人材像っていうのは、我々の軸というよりも今の人達の変化のほうが大きくて、私は転勤することが当たり前っていうのが普通の価値観だと思っていたんだけど、今の若い方々で多くなってきているのは一か所に落ち着いた生活を望むというか、そういったところは昔と随分違うかな。


沖野
なるほど。採用側からみたときに、そのような課題や考え方があるんですね。


皆川
そういった方々が自分自身の成長を実感する、働き甲斐のある職場をどのように作っていくのか、っていうあたりが大きな悩みどころですね。


沖野
そうですね。転勤が嫌な就活生にも合わせたライフスタイルの構築ということが今後の課題なのでしょうか?


皆川
うん。それはもちろんライフイベントの多い女性もそうだし、そこに寄り添う男性もですよね。
私はもう単身赴任を二十年近くやっているけど、今時そんな人いたら「もういいです」って言われちゃいそうだもんね。(笑)


沖野
今は男性も育休を取得することが自然となりつつありますからね。


皆川
だから我々が一方的に求める人材像ではなくて、変わっていくキャリアプランにいかに求める人物像をマッチングさせていくかっということの方が大事かな。


沖野
課題はそっちのほうが大きいんですね。経営者目線ならではの意見をありがとうございます。
では最後に、これから御社を志望する就活生に向けてのメッセージやアドバイスをお伺いしたいです。


皆川
私がこの仕事に携わってきて卵という食材に真剣に向き合うようになったのですが、日本あるいは世界を見ても本当に卵って素晴らしい食材だし、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを含めて栄養豊か、そしてこれからの世界の食べ物を考えたときに卵ってまだまだ可能性がある食材だし、それに対して次世代の人と一緒に卵の可能性を追求していきたいです。我々はそういう会社だよっていうことです。


沖野
皆川様と御社の魅力が十二分に伝わるお言葉だと感じました。
本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

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